2032年に地球に衝突する可能性のある小惑星「2024 YR4」が発見され、世界中で話題になっています。衝突確率は1%台と低いものの、その大きさから地域に深刻な被害を与える可能性も懸念されています。この記事では、小惑星「2024 YR4」の発見から今後の予測、そして国際社会の対応まで詳しく解説します。
小惑星「2024 YR4」とは?その脅威とは?
2024 YR4は、2023年12月27日にチリの小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)によって発見された小惑星です。直径は40~100メートルと推定されており、この程度の大きさの小惑星は数千年に一度地球に衝突する可能性があり、衝突した場合には地域に深刻な被害を与える恐れがあると欧州宇宙機関(ESA)は分析しています。
小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)の望遠鏡
現在の予測では、2024 YR4が地球に衝突する確率は1.2%とされています。地球を安全に通過する確率が99%以上と非常に高いものの、NASAによると、現在地球に衝突する確率が1%を超える大型小惑星は他に知られていません。
東京大学大学院理学系研究科の宇宙惑星科学専攻、渡部教授(仮名)は、「1%という数字は低いように見えても、地球規模で考えると無視できない数値です。今後の観測で衝突の可能性をさらに精査していく必要があります」と述べています。
国際社会の対応と今後の展望
2024 YR4の発見を受け、国際小惑星警報ネットワーク(IAWN)と宇宙任務計画諮問グループ(SMPAG)など国際的な小惑星対応団体が議論を開始しました。IAWNは小惑星の詳細な情報を追跡・分析し、必要に応じて衝突の影響を評価する戦略を開発する予定です。SMPAGは、小惑星が脅威であり続ける場合に備え、潜在的な影響を軽減する方法に関する勧告を提供し、実行可能な対策を検討する予定です。
NASAジェット推進研究所(JPL)傘下の地球近傍天体研究センター(CNEOS)の航法エンジニア、ダビデ・ファルノキア氏は、「2024 YR4が観測期間の最後まで脅威であり続ける場合、緩和措置を検討できますが、現時点では時期尚早です。当面の優先事項は観測を継続し、2032年の位置の不確実性を減らすことです」と述べています。
2024 YR4は現在地球から約4500万キロメートル離れており、時間とともにさらに遠ざかっています。2024年4月初めまで観測が可能であり、その後は太陽の周りを公転するため、2028年までは地球に接近しないと予想されています。今後の観測結果によって、衝突の可能性に関するより正確な情報が得られると期待されています。
私たちにできること
小惑星衝突は、地球規模の災害を引き起こす可能性のある深刻な脅威です。しかし、国際社会の協力と科学技術の進歩により、早期発見と適切な対応が可能になりつつあります。私たち一人ひとりが、宇宙の脅威に対する意識を高め、科学的な情報に基づいて冷静に状況を理解することが重要です。