安倍晋三首相は3日午後、タイ・バンコクで開かれる東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に出席するため、政府専用機で羽田空港を出発した。首相は出発前、記者団に対し、北朝鮮の弾道ミサイル発射を踏まえ「朝鮮半島の非核化を目指すため、今こそ国際社会はしっかりと団結し、国連決議を履行することが極めて重要だ」と述べた。南シナ海の軍事拠点化を進める中国を念頭に「南シナ海の海洋秩序を守るため、全ての当事者が国際法に基づき、紛争を平和的に解決する重要性を強く訴えたい」とも語った。
4日に日米中露を含む18カ国で構成する東アジアサミット(EAS)や東アジア地域包括的経済連携(RCEP)首脳会合などに出席する。中国の李克強首相ら各国首脳との個別会談にも臨む。日中首相の会談は昨年10月下旬に北京で行って以来約1年ぶり。来春に予定する中国の習近平国家主席の国賓来日に向け、協力を確認する見通しだ。
ASEAN関連首脳会議には韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領も出席するが、日韓首脳会談の予定はない。いわゆる元徴用工判決で生じた日韓請求権違反状態の解消策を韓国政府が示しておらず、安倍首相は文氏との正式な会談には応じない構えだ。