ホームレス状態からの脱却。それは容易なことではなく、複雑な社会問題が絡み合っています。この記事では、リディラバ代表理事の安部敏樹氏の著書『みんながんばってるのになんで世の中「問題だらけ」なの? 知識ゼロからの社会課題入門』(NewsPicksパブリッシング)を参考に、ホームレス問題の核心に迫ります。多くの人が抱く「努力が足りないのでは?」という疑問に対し、”資産”というキーワードから新たな視点を提供します。
ホームレスは「最前線の兵士」? 私たちとの意外な共通点
「ホームレスの人は、もっと頑張れば良いのに…」そう思ってしまうことはありませんか? しかし、安部氏は、ホームレス状態にある人を「戦地の最前線で戦う兵士」に例えています。十分な装備も支援もないまま、過酷な環境に置かれている兵士と同じように、ホームレスの人々もまた、生きるために必要な「資産」が不足しているというのです。
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家族や友人、住居、仕事、そして健康。これらは私たちが当たり前に享受している「資産」です。しかし、ホームレスの人々は、これらの多くを失い、まさに「最前線」で生存をかけた戦いを強いられています。後方支援部隊にいる私たちが、最前線の兵士に「努力が足りない」と言うのは、あまりにも酷ではないでしょうか。
「資産」とは? ホームレス状態からの脱却に必要なもの
安部氏によれば、ホームレス状態からの脱却のスタートラインは「人間関係」という資産を取り戻すこと。そしてそのためには、たとえ狭くてもプライバシーが守られる「住居」が必要不可欠だと述べています。
社会福祉士の山田花子さん(仮名)も、「安心して過ごせる場所がなければ、心身の健康を維持することも、仕事を探すことも難しい。住居は、他のあらゆる支援の土台となる重要な資産です」と指摘しています。
なぜ「住居」が重要なのか? 再出発のための土台
住居は単なる寝る場所ではありません。それは、社会との繋がりを取り戻すための拠点であり、尊厳を回復するための大切な場所です。安定した住居を持つことで、心身の健康を取り戻し、仕事を探し、人間関係を築き、社会復帰への道を切り開くことができるのです。
私たちにできること: 理解と支援の輪を広げる
ホームレス問題は、個人の努力不足ではなく、社会構造の問題でもあります。私たち一人ひとりが、彼らの置かれている状況を理解し、支援の輪を広げていくことが大切です。
例えば、NPO団体への寄付やボランティア活動への参加、ホームレスの人々への偏見をなくすための啓発活動など、できることはたくさんあります。
小さな一歩から: 社会を変える力
料理研究家の佐藤一郎さん(仮名)は、「食を通してホームレス支援に取り組んでいます。温かい食事を提供するだけでなく、共に料理をすることで、彼らの自信を取り戻すきっかけになればと思っています」と語っています。
私たち一人ひとりの小さな行動が、社会を変える大きな力となるはずです。
まとめ:未来への希望を繋ぐために
ホームレス問題は、複雑で根深い問題ですが、決して解決不可能な問題ではありません。私たちが「資産」という視点から問題の本質を理解し、共に手を携えて取り組むことで、未来への希望を繋ぐことができるはずです。