田中角栄。その名は、日本の政界に燦然と輝く異色のリーダーを指します。小学校卒業という学歴でありながら、総理大臣の座まで上り詰めた彼の軌跡は、まさに驚異的と言えるでしょう。この記事では、田中角栄の類まれなるリーダーシップ、特に大蔵省という最強官庁を掌握した手腕に焦点を当て、その秘密を探ります。
大蔵省を震撼させた型破りな大臣
1962年、44歳という若さで大蔵大臣に就任した田中角栄。初登庁の際、彼は官僚たちに対し、異例とも言える挨拶を行いました。「私は田中角栄だ。小学校高等科卒業である。」と自身の学歴を包み隠さず語り、大蔵官僚のエリート集団に対し、堂々と渡り合う姿勢を示したのです。
田中角栄首相就任時の写真
この率直な物言いは、官僚たちにとって新鮮な驚きであったと同時に、田中の底知れぬ力を感じさせるものでした。ノンフィクション作家の保阪正康氏も指摘するように、田中は官僚個人の私生活までをも把握し、飴と鞭を巧みに使い分け、大蔵省という巨大組織を掌握していったのです。
官僚操縦の達人、その手法とは
当初、エリート意識の高い大蔵官僚たちは、小学校卒の田中を侮っていました。しかし、田中は彼らの嘲笑や反発に屈することなく、持ち前の負けん気と政治的手腕で、官僚たちを操縦していく術を身に付けていきます。
情報収集と人間関係構築
田中は官僚たちの序列や慣行を記憶するだけでなく、個々の私生活まで詳細に調べ上げました。誕生日には贈り物をするなど、人間関係の構築にも力を注ぎ、官僚たちの懐に入り込んでいったのです。
人事権の活用とアメとムチ
一方で、自民党の他派閥と通じている官僚には容赦なく人事権を行使し、閑職に追いやりました。飴と鞭を巧みに使い分けることで、官僚たちをコントロールし、自らの政策を推進していったのです。
田中角栄、母フメ、妻はな
田中角栄が残したもの
田中角栄のリーダーシップは、学歴や経歴にとらわれず、自らの力で道を切り開くことの大切さを教えてくれます。彼の政治手法には賛否両論ありますが、その型破りなスタイルと強い意志は、現代のリーダーシップを考える上でも多くの示唆を与えてくれるでしょう。 田中角栄という人物は、まさに日本の高度経済成長期を象徴する、稀代のリーダーと言えるでしょう。
