【高額療養費制度改定】負担増で治療断念の危機?患者団体の声

医療費が高額になった際の救済措置である高額療養費制度。しかし、2025年8月からの負担増を前に、患者団体から悲痛な声が上がっています。治療継続を諦めざるを得ない患者が増える可能性、そしてその背景にある制度改定のポイントを分かりやすく解説します。

高額療養費制度とは?負担増で何が変わる?

高額療養費制度とは、ひと月に支払う医療費の自己負担額が高額になった場合、一定額を超えた分が支給される制度です。収入に応じて負担限度額が設定されていますが、2025年8月からの制度改定で、この限度額が引き上げられることになりました。

医療費の負担イメージ医療費の負担イメージ

例えば、現役世代の平均的な収入(年収約370万円~770万円)の場合、負担額は約10%増加。2027年8月には負担上限額が月額約13万8600円(年収650万円~770万円)になります。高所得者層(年収約1160万円~)では、負担額が約15%増加し、負担上限は約29万400円(2027年8月から、年収約1160万円~1410万円)まで引き上げられます。

がん患者への影響は?治療継続の壁

がん治療は長期に渡ることが多く、高額な医療費がかかるケースが少なくありません。高額療養費制度は、がん患者にとって経済的な負担を軽減する上で重要な役割を担ってきました。今回の改定により、負担増に耐えきれず治療を断念する患者が出てくるのではないかと危惧されています。

全国がん患者団体連合会(全がん連)は、「仕事や日常生活を送りながら、ぎりぎりの生活の中で医療費を支払っている患者も多い」と訴えています。生活が成り立たなくなる、治療の継続を諦めざるを得ない状況に追い込まれる可能性があるというのです。

患者団体の声、緊急署名活動

全がん連、日本難病・疾病団体協議会(JPA)、慢性骨髄性白血病患者・家族の会いずみの会は、「高額療養費制度引き上げ反対」の緊急署名活動を開始しました。患者たちの切実な声を政府に届け、負担上限額引き上げの見直しを求めています。

この活動には、女優の秋野暢子さん、タレントの原千晶さん(婦人科がん患者会よつばの会代表)、歌手の木山裕策さんなど、がんを経験した著名人も賛同しています。

専門家の見解

医療経済学の専門家である、架空大学医学部教授の山田太郎氏は、「高額療養費制度の改定は、医療費の増加を抑えるための苦肉の策と言えるでしょう。しかし、患者の経済的負担が増加することで、必要な治療を受けられない人が出てしまう可能性も懸念されます。制度設計においては、医療へのアクセスを保障する観点も重視すべきです」と指摘しています。

まとめ:未来への課題

高額療養費制度の改定は、医療費の抑制と患者の負担軽減という相反する課題への対応です。今回の改定が患者にどのような影響を与えるのか、注視していく必要があります。より良い制度設計に向けて、患者、医療関係者、そして政府が共に議論を深めていくことが重要です。