埼玉県八潮市で発生した道路陥没事故から9日目を迎え、新たな展開がありました。ドローンによる下水道管内調査で、トラックの運転席部分とみられる物体が発見されたのです。しかし、74歳男性の行方については依然として不明で、捜索活動は難航を極めています。
ドローンが捉えた運転席らしき物体、捜索の進展に期待
埼玉県の大野元裕知事は、下水道管内の堆積物を調査するためドローンを投入した結果、運転席(キャビン)らしき物体を発見したと発表しました。物体は白色で、形状は変形しているとのこと。下水道事業管理者の北田健夫氏も、この物体がコンクリートガラとは異なる材質であることを確認しています。
下水道管内で見つかったトラック運転席とみられる物体
発見場所は陥没現場から100~200メートル下流の下水道管内。管内の3分の1は水で満たされており、その水面上に物体の一部が出ている状態です。大野知事は「3分の1水、3分の1キャビン、3分の1空間」と現状を説明し、行方不明の男性の姿は確認できていないとしました。捜索は引き続きドローンを用いて行われる予定です。
ボックスカルバートの存在が救助を阻む新たな課題
捜索の難航は、新たに判明した「ボックスカルバート」の存在が一因となっています。陥没現場には交差する2本のコンクリート製用水路があり、これがボックスカルバートと呼ばれる構造物。周囲は水で浸食され、崩落の危険性があるため、当初は固定する予定でした。しかし、消防はこれを穴の中に落とす方針に変更。落下による捜索場所への影響を最小限に抑える方法を県と協議しています。
ボックスカルバート撤去に伴う避難区域設定
ボックスカルバートの撤去作業に伴い、周辺住民への避難要請が出されました。大野知事は、避難する住民への丁寧な対応を求めています。
2本目のスロープ完成、本格捜索開始へ
2本目のスロープが完成し、専門家による内部作業の安全確認を経て、本格的な捜索が開始される見込みです。
完成した2本目のスロープ
今回のドローン調査による発見は捜索の進展に繋がる大きな一歩となりますが、行方不明の男性の発見には至っていません。一刻も早い救出を願い、関係機関による懸命な捜索活動が続けられています。