「会社の未来を託したはずが」M&A後に待ち受けていた地獄…元経営者の告発に買収側の「言い分」とは


【写真を見る】最盛期には年商28億円、銀座にも店舗を構えていたが、M&Aされた途端に”経営難”に

(前後編の後編)

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会社を売却し静かに余生を過ごすはずだったのに……

・滞っていた海外工場などへの約5000万円の支払いは、事業を継承するF社が履行する。
・会社の運転資金として借り受けていた融資の「個人保証」(融資の保証人になること)からA氏を外す。
・従業員の雇用を継続する。
・会社が10年前から積み立てていた金融商品の償還金約8000万円を、A氏への退職慰労金として支払う。

 上記のもと、A氏は2023年春にF社と売却契約を締結。その後は引き継ぎのため代表権のない会長職におさまった。

 週に数回、自分の興した会社の様子を見にいきながら、静かに余生を過ごせると思っていたA氏だったが、その“夢”はM&Aからものの数か月で儚くも崩れ去ってしまう。

「必要な支払いや給与・家賃などの運転資金は、必要額が都度、F社から支払われることになっており、売却後に会社に残っていた資金や、回収した売上金はF社の口座に移されていました。ところが、それから数か月もしないうちにF社からの資金注入がパタリと止んでしまったのです」(A氏)

 事態はさらに悪化していく。雇用を継続されるはずだった従業員は経営悪化を理由に全員が解雇されてしまい、これまで地道に築いてきた携帯キャリアや量販店などの販売路には、一方的に取引中止のメールが送られていた。

「F社との“約束”と捉えていた個人保証の解除も結局果たされず、退職慰労金として支払われるはずだった約8000万円分の金融商品も、個人保証の担保として銀行に差し押さえられ、債務およそ4億円を負わされてしまいました。F社は初めから事業を継承する気なんてなく、初めから会社にあるカネが目当てだったんです」(同)

 こうした“疑惑”について見解を求めるべく、F社の代表者に連絡を取ったところ、匿名を条件にメールで回答を得られた。果たして、A氏の会社を買収したF社側の“言い分”とは――? 



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