コカインはウイスキーより安全?ペトロ大統領の発言が波紋

コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領が、コカインはウイスキーほど有害ではないと発言し、物議を醸しています。世界最大のコカイン生産国であるコロンビアの大統領によるこの発言は、一体何を意味するのでしょうか?この記事では、ペトロ大統領の発言の背景や真意、そして今後のコロンビアの麻薬政策について詳しく解説します。

ペトロ大統領、コカインの「合法化」を主張?

2025年2月4日、コロンビアのグスタボ・ペトロ大統領は、史上初めて生中継された閣議で、コカインについて衝撃的な発言をしました。「コカインが違法とされているのは中南米で生産されているからだ。ウイスキーよりも有害だからではない」と主張し、世界中でコカインが合法化されれば、世界のコカイン産業は「容易に解体できる」と続けました。

altaltペトロ大統領(左)閣議の様子。コカイン問題に関する発言は大きな波紋を呼んでいる。

この発言は、世界中に大きな波紋を広げました。麻薬撲滅に尽力する各国政府や国際機関からは批判の声が上がり、コカインの危険性を軽視していると非難されています。一方で、コロンビア国内では、長年の麻薬戦争による疲弊から脱却するため、新たなアプローチが必要だという意見も出ています。

コカイン合法化で麻薬戦争終結なるか?

ペトロ大統領は、左派ゲリラ出身の政治家で、2022年の大統領選で勝利し、コロンビア史上初の左派大統領となりました。彼は選挙公約として、約60年続く内戦の終結を掲げ、麻薬密売に関わるすべての武装組織との和平を目指しています。

ペトロ大統領の発言の真意は、コカインの危険性を軽視することではなく、麻薬戦争の終結にあります。彼は、コカインの違法化が麻薬カルテルの資金源となり、紛争を激化させていると指摘しています。そして、コカインを合法化することで、麻薬カルテルの資金源を断ち、紛争を終結させることができると考えているのです。

専門家の意見は?

麻薬政策研究の第一人者である山田教授(仮名)は、「ペトロ大統領の発言は、麻薬問題に対する新たな視点を提供するものだ」と評価しています。山田教授は、「従来の麻薬撲滅政策は、麻薬の供給を抑制することに重点を置いてきたが、需要を抑制することにも目を向ける必要がある」と指摘し、ペトロ大統領の提案は、需要抑制のための新たなアプローチとなる可能性があると述べています。

合成麻薬フェンタニルの脅威

ペトロ大統領は、コカインだけでなく、合成麻薬フェンタニルの問題についても言及しました。彼は、米国で年間約7万5000人の死因となっているフェンタニルは、コロンビアで生産されているわけではなく、北米の多国籍企業によって製造されていると主張しました。

この発言は、麻薬問題の責任を先進国にも求める姿勢を示すものであり、今後の国際的な麻薬対策の議論に影響を与える可能性があります。

ペトロ大統領の麻薬政策は、まだ始まったばかりです。今後の展開に注目が集まっています。