アメリカの養蜂家たちは、記録的なミツバチの大量死に見舞われています。今年の冬、多くの養蜂家が保有するミツバチコロニーの半数以上、場合によっては70~100%が失われたという衝撃的な報告がされています。この事態は、私たちの食卓にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
ミツバチ大量死の現状
今冬のミツバチの損失率は50%を超え、経済的損失は210億円以上と推定されています。234の養蜂家を対象とした調査によると、数百万匹ものミツバチが姿を消し、多くの養蜂家が事業継続の危機に瀕しています。特にカリフォルニアでは、アーモンドの受粉シーズンを目前に控え、深刻なミツバチ不足が懸念されています。
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食料供給への影響
ミツバチは、アーモンドだけでなく、ブルーベリー、チェリー、クランベリー、リンゴなど、様々な果物の受粉に不可欠な存在です。ミツバチの不足は、これらの果物の生産量減少に直結し、結果としてスーパーマーケットでの品薄や価格高騰につながる可能性があります。消費者の私たちにとっても、決して他人事ではない問題です。
専門家の見解
「今回の大量死は、2007~2008年に発生した蜂群崩壊症候群(CCD)と類似点がある」と、昆虫学者である山田博士は指摘します。「CCDと同様に、巣箱にはハチミツが残されているにもかかわらず、成虫のミツバチがほとんどいないという不可解な現象が確認されています。原因究明が急務です。」
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大量死の原因究明
研究者たちは、死滅したコロニーから花粉や蜜蝋を採取し、原因究明に全力を注いでいます。ダニ、ウイルス、農薬など、様々な要因が考えられていますが、現時点では特定に至っていません。養蜂業界団体「Project Apis m.」のエグゼクティブディレクター、ダニエル・ダウニー氏は、「一刻も早く原因を突き止め、対策を講じる必要がある」と訴えています。
今後の展望
ミツバチの大量死は、アメリカの農業、ひいては世界の食料供給に深刻な影響を与える可能性があります。私たち一人ひとりがこの問題に関心を持ち、持続可能な農業の実現に向けて取り組むことが重要です。