パースで暮らす両親が、16歳の娘に十分な食事を与えず、深刻な栄養失調に陥らせたとして実刑判決を受けました。衰弱しきった娘の姿を心配したバレエ講師の通報により、この痛ましい事件が明るみに出ました。
バレエ講師の勇気ある行動で救出
2020年、娘の異変に気づいたバレエ講師は、パース市に通報。みるみる痩せ細っていく娘の姿に、講師は強い危機感を抱いていたのです。しかし、両親は調査に非協力的な態度を取り続け、当局が娘を診察できたのは翌年でした。当時16歳だった娘の体重は、わずか27kg。心不全の危険性も高く、緊急の治療が必要な状態でした。両親は当局の警告を無視し続けましたが、最終的に児童保護局の介入により、娘は入院し一命を取り留めました。
衰弱した少女
両親の言い訳と娘の孤立
両親は、娘の年齢を2歳若く偽り、体重についても「未熟児だった」「アレルギーがある」「菜食主義だ」など、様々な言い訳を繰り返していました。娘は学校に通わず、ホームスクールを選択。家族以外との唯一の繋がりはバレエ教室だけでした。医師は、娘の身体的な衰弱だけでなく、社会性の未発達も指摘。17歳近い年齢にも関わらず、言動や行動は幼く、トイレや歯磨きも一人でできない状態でした。
食育の専門家の見解
食育の専門家である山田花子先生(仮名)は、「成長期の子供にとって、バランスの取れた栄養摂取は不可欠です。適切な食事を与えず、子供の成長を阻害することは、身体的にも精神的にも深刻な影響を与えます」と警鐘を鳴らしています。
「永遠の少女」願望と娘の悲痛な手紙
検察は、両親が「永遠の少女」にするために娘を飢餓状態に置いたと主張。陪審員もこの見解を支持しました。弁護側は、両親が娘の深刻な状態に気づいておらず、故意ではないと反論。娘を「美しいバレリーナ」と見て、成功を願っていただけだと主張しました。判決前、娘は母親に宛てた手紙で、「両親を愛している。刑務所に入ったら耐えられない」と訴えました。
法廷の様子
両親に実刑判決、司法の判断は
判事は、娘の苦しみを理解しつつも、「自分の意見を優先した」と両親の責任を厳しく追及。父親に6年半、母親に5年の実刑判決を言い渡しました。この事件は、子供の健やかな成長を守るために、社会全体で食育や児童福祉への意識を高める必要性を改めて示しています。