【北京=三塚聖平】中国政府は4日、台湾の企業や個人に対する優遇措置を発表した。高速大容量の第5世代(5G)移動通信システムの整備やテーマパークなどへの投資で、台湾企業の参画を認めるといった26項目の措置からなる。来年1月に台湾の総統選が迫る中、経済面などでの便益を示し、台湾での親中国ムードを盛り上げようとしているとみられる。
優遇措置は、中国国務院(政府)台湾事務弁公室など各部門がまとめ、即日施行された。5Gの技術開発や通信網の構築のほか、テーマパークや航空分野で台湾企業の投資を認めるといった経済面の便益を前面に出している。成長が見込まれる分野で台湾企業の進出を促す。
個人向け分野では、台湾の学生が中国の学校に進学しやすくする措置や、2022年北京冬季五輪に備えた台湾のスポーツ選手に対する協力などが打ち出されている。また、中国の在外大使館や領事館で必要な領事保護を求めることができるといった項目も盛り込まれた。
中国政府は発表文で「引き続き率先して台湾同胞と大陸の発展の機会を分かち合う」などと強調した。
中国政府は、8月から台湾への個人の観光旅行を制限するなど、民主進歩党の蔡英文政権に対して経済面で圧力を加えている。今回の一連の優遇措置で、総統選に向けた硬軟両様の構えを打ち出した形だ。