AIで韓国経済の未来を切り開く!少子高齢化の危機突破のカギとなるか?

日本でも注目を集めるAI技術。韓国では、少子高齢化という深刻な課題を抱える経済の起爆剤として、AIへの期待が高まっています。AIは、単に既存の労働力を代替するだけでなく、それを補完しシナジー効果を生み出すことで、生産性とGDPを飛躍的に向上させる可能性を秘めているのです。

AI導入でGDP最大13%増加の可能性も!IMFとの共同研究で驚きの結果

国際通貨基金(IMF)と韓国銀行が共同で発表した報告書「AIと韓国経済」によると、少子高齢化の影響で2023年から2050年にかけて韓国のGDPは16.5%減少すると予測されています。しかし、AIを積極的に導入することで、この減少幅を5.9%まで大幅に縮小できるというのです。AIは、生産年齢人口の減少による経済への打撃を緩和する切り札となるのでしょうか。

報告書では、AIの活用度合いによって全要素生産性(TFP)は10年以内に1.1~3.2%、GDPは4.2~12.6%増加する可能性があると試算しています。さらに、AI関連チップの開発によって、韓国の半導体輸出は2030年までに2倍に増加すると予測。AI技術は、韓国経済の成長を力強く牽引する原動力となるかもしれません。

韓国の都市の風景韓国の都市の風景

AIと雇用の未来:リスクとチャンス

一方で、報告書は国内雇用の半分以上にあたる51%がAIによって代替されるリスクにさらされていると警告しています。AIの導入は、雇用市場に大きな変化をもたらすことは避けられないでしょう。しかし、その影響は「AI露出度」と「AI補完度」によって大きく異なると指摘しています。AI露出度とは、ある職業の業務がAIによって代替される可能性の高さ、AI補完度とは、AIでは代替できない社会的・物理的属性によって、どれだけ保護されるかを示す指標です。

全労働者の24%はAI露出度とAI補完度がともに高く、AIを活用することで生産性と所得の向上が期待できると分析されています。例えば、裁判官や外科医などは、AIのサポートを受けながら、より高度な判断や技術を駆使することで、さらに質の高いサービスを提供できるようになるでしょう。

手術室の様子手術室の様子

AIで職を失う可能性も?

しかし、労働者の27%はAI露出度が高く、AI補完度が低いとされています。通信関連の販売員や会計事務職などが該当し、AIによって失職したり所得が減少するリスクが高いとされています。AI時代に生き残るためには、自身のスキルを磨き、AIと共存できる能力を身につけることが不可欠となるでしょう。

韓国のAI準備状況:課題と展望

韓国のAI準備指数は世界165カ国中15位と評価されています。革新性や経済統合の分野では3位と高い評価を得ている一方、規制や倫理、デジタルインフラの整備は18位と、改善の余地が残されています。

ソウルの街並みソウルの街並み

AI導入率は、資産規模上位25%の大企業や設立5年未満の新興企業で高く、2023年時点で大企業の48%がすでにAIを導入していることが明らかになっています。しかし、中小企業への普及は遅れており、企業間の生産性格差の拡大が懸念されています。

AI時代の勝ち組になるために

韓国銀行とIMFの研究陣は、AIを活用した生産性向上のためには、AI露出度が高くAI補完度が低い職種から、AI露出度とAI補完度がともに高い職種への労働移動を促進する必要があると提言しています。韓国銀行雇用研究チーム長のオ・サミル氏は、「労働市場の硬直性や二重構造は労働者の雇用転換を阻害する要因となり、特に高齢層にとって大きな課題となるだろう。教育や再訓練プログラムを通じて労働市場の柔軟性を高め、脆弱階層のAI転換への適応を支援することが重要だ」と述べています。AI技術は、韓国経済の未来を大きく左右する可能性を秘めています。今後の動向に注目が集まります。