埼玉県八潮市で発生した県道陥没事故から2週間。行方不明だった74歳男性運転手のトラック運転席部分が下水道管内で発見され、運転手が中に閉じ込められている可能性が浮上しました。捜索開始までには約3ヶ月を要する見通しです。
ドローン調査で運転席発見、バイパス工事で捜索へ
県はドローンを用いた調査で下水道管内にトラック運転席らしき物体を発見。小型カメラによる調査や勤務先への聞き取りなどを経て、行方不明のトラックの運転席部分であると特定しました。警察と法医学専門家による映像分析の結果、運転席内に人がいる可能性があると判断されました。当初、運転席部分は陥没現場から下流100~200メートル地点にあるとされていましたが、詳細な調査の結果、下流30メートル地点であることが判明しました。
alt 八潮市陥没事故現場。ドローンを使って下水道管内を調査する様子。
下水道管内は水流が速く、高濃度の硫化水素が発生している危険な環境です。そのため、県は陥没現場と運転席部分のある場所を迂回するバイパス管を新設し、現場への下水の流入量を減らした上で、消防による捜索を行う予定です。
バイパス工事イメージと救出までの道のり
バイパス工事は、新たな管を敷設することで、下水を迂回させ、陥没現場の水量を減らすことを目的としています。これにより、捜索隊員が安全に活動できる環境を確保します。
alt 八潮市陥没事故におけるバイパス工事のイメージ図。
大野元裕知事は、「被害者の救助救出が最優先。確実に人かはわからないが、キャビン(運転席部分)の所在がわからなくなってから初めての手がかりだ」と述べ、救出への強い意欲を示しました。バイパス工事には約3ヶ月かかると見込まれており、救出作業は長期戦となることが予想されます。「下水道管のバイパス工事は、特殊な技術と経験が必要となる大規模工事です。」と、下水道工事の専門家である佐藤一郎氏(仮名)は指摘します。
災害救助法適用、避難長期化へ
県は1月29日に八潮市に災害救助法を適用しました。バイパス工事中も一定期間の避難が必要となるため、避難所の設置費用などは国と県が負担します。周辺住民の生活への影響も長期化することが懸念されます。
今後の見通しと課題
運転手の安否確認と救出が最優先事項となりますが、バイパス工事の完了までには時間を要します。また、救出作業は困難を極めることが予想され、関係機関の連携が不可欠です。今後の進展が注目されます。