職場での些細な音が、実は大きなストレスになっているかもしれません。キーボードのタイピング音、引き出しを閉める音、書類をめくる音…無意識のうちに「音ハラ」加害者になっていないでしょうか？この記事では、音ハラの現状と対策、そして職場の音問題に悩む方への具体的なアドバイスを紹介します。
音ハラの実態：あなたの職場にも潜む騒音問題
SNS上では、職場での音に対する悩みが数多く見られます。「タイピング音クソデカ男」や「マウスをガンガン叩きつける音」など、具体的な事例も挙げられています。音ハラは「ノイズハラスメント」の略で、職場における騒音トラブルは多くのビジネスパーソンを悩ませています。 「うるさい」と注意するのは角が立ち、「静かにしてください」と言うのも気が引ける…そんな状況で、どのように対処すれば良いのでしょうか？
キーボードを打つ人のイラスト
具体的な音ハラ事例と無意識の加害者
ハラスメント対策の専門家、メンタル・リンクの宮本剛志社長によると、企業研修やカウンセリングで音に関する相談は意外と多いとのこと。宮本社長は、以下のような行為を知らず知らずのうちにやっていないか、注意を促しています。
- Enterキーを強く叩く
- 書類を机に打ち付ける
- ハイヒールでカツカツ歩く
- 会議で机を叩きながら話す
- イヤホンからの音漏れ
特に多いのは、引き出しを勢いよく閉める音への相談だそうです。また、議論中に机を叩く行為は、パワーハラスメントと受け取られる可能性もあるため注意が必要です。これらの行為は、非言語の威圧行為になり得ると宮本社長は指摘します。
音ハラ対策：提案型の相談と自己防衛
音ハラの問題を難しくしているのは、加害者側に自覚がないことです。では、音に悩む人はどうすれば良いのでしょうか？宮本社長は、「提案型」の相談を勧めています。例えば、「Aさんのタイピング音が気になって集中できないので、一定時間イヤホンを使っても良いですか？」といったように、具体的な提案をすることで、相手を責めることなく問題解決を図ることができます。
また、音の発生源となる人の行動を観察することも有効です。特定の曜日や時間帯に音が大きくなるパターンがあるかもしれません。パターンが分かれば、休憩時間をずらしたり席を外したりするなど、自己防衛策を講じることができます。
組織としての取り組み：働きやすい環境づくり
音ハラ対策は、被害者だけが自衛するのではなく、組織全体で取り組むことが重要です。潜在的な被害者が他にもいる可能性や、小さなトラブルが大きな問題に発展するリスクを考慮し、組織としてできる対策を検討する必要があります。
防音個室の設置など、具体的な対策を講じる企業も出てきています。宮本社長は、「お互いが働きやすい、集中しやすい職場環境を作るというビジョンを共有し、可能な範囲で対策を講じるべき」と強調します。
ストレス対策：無意識の加害者を減らすために
音ハラ加害者の中には、無自覚のうちにストレスをため込んでいる人が多いそうです。宮本社長は、職場で手軽にできるストレス対策として、以下の方法を推奨しています。
- 手を握り締め、ぱっと開いて脱力する
- 両肩を耳に触れるくらいに上げ、脱力する
これらの筋弛緩法は、わずか5秒で効果があるとのこと。また、歩行中に左右どちらの足に力が入っているか意識するのも効果的だそうです。「過去や未来ではなく、『今』に意識を集中することで、イライラを軽減できる」と宮本社長はアドバイスしています。
