インド南部ベンガルールで開催された国際航空ショー「エアロ・インディア2023」は、米露両国のステルス戦闘機が競演する場となりました。インド空軍の次期主力戦闘機選定を巡り、両国が激しい販売競争を繰り広げている様子が鮮明に映し出されました。
ステルス戦闘機、インド市場を巡る攻防
2月10日、イエラハンカ空軍基地で繰り広げられたデモンストレーション飛行は、まさに米露の威信をかけた空中戦さながらでした。ロシアのSu-57が驚異的な垂直飛行や旋回を見せた直後、米国のF-35Aが轟音とともに飛来。会場は大きな歓声に包まれました。
F-35A戦闘機がインドの航空ショーで展示飛行
インドは老朽化したロシア製戦闘機ミグの代替機として、ステルス戦闘機の導入を検討しています。ロシアへの依存度を下げ、武器調達源の多様化を図るインドにとって、この選定は極めて重要な意味を持ちます。
米国は昨年、初めてF-35Aをインドに派遣し、エアロ・インディアで披露しました。ロシアへの牽制はもちろん、巨大なインド市場獲得への強い意欲が見て取れます。防衛専門家の田中一郎氏(仮名)は、「米国はインドとの防衛協力強化を図り、中国の軍事力増強に対抗する狙いもある」と指摘しています。
ロシア製Su-57ステルス戦闘機とその搭載ミサイル
一方、ロシアも黙ってはいません。今回、Su-57をインドで初公開し、購入に加え共同生産まで提案したと報じられています。インドとの長年の友好関係を武器に、巻き返しを図ろうとしているのです。
インドの選択、その行方は?
インドは独自にステルス戦闘機を開発中ですが、実戦配備にはまだ時間がかかります。そのため、当面は外国製戦闘機の導入が不可欠です。マドラス大学のウタム・クマル教授は、「インドは地政学的リスク、軍事戦略、そして費用対効果を総合的に判断して導入機種を決めるだろう」と分析しています。
F-35Aの優位性と課題
F-35Aは高いステルス性能と先進的なアビオニクスを誇り、世界中で採用が進んでいます。しかし、高額な導入・維持費がネックとなる可能性があります。
Su-57の魅力と懸念
Su-57は優れた機動性と強力な兵装を搭載していますが、ステルス性能や電子機器の信頼性については疑問視する声もあります。
インドの最終的な選択は、今後の国際情勢にも大きく左右されるでしょう。米露両国による激しい駆け引きは、今後も続くものと予想されます。
まとめ:インドの決断に世界が注目
エアロ・インディア2023は、米露ステルス戦闘機がインド市場を巡り火花を散らす舞台となりました。F-35AとSu-57、どちらがインド空軍の次期主力戦闘機となるのか、世界中の軍事関係者が見守っています。インドの選択は、今後のアジア太平洋地域の安全保障にも大きな影響を与えるでしょう。