ハンガリー日本人女性焼死事件:DV訴えも届かず、元夫逮捕で波紋広がる

ブダペストで起きた日本人女性焼死事件。当初は事故と見られていた火災ですが、DV被害の訴えを警察が無視していたことが発覚し、元夫が計画殺人容疑で逮捕されるという衝撃的な展開を見せています。本記事では、事件の経緯とDV問題の深刻さを改めて見つめ、今後の対策について考えていきます。

DV被害訴えるも対応されず…悲劇の連鎖

2024年1月29日、ハンガリーの首都ブダペスト中心部のマンションで火災が発生し、日本人女性(43)が遺体で発見されました。当初、警察はタバコの不始末による事故と判断しましたが、後にDV被害を訴えていたことが明らかになり、元夫が計画殺人容疑で逮捕されました。

ブダペストのマンション火災現場ブダペストのマンション火災現場

被害女性は2022年から現地の日本大使館や警察にDV被害を訴え、子どもと共に日本へ帰国するための支援を求めていました。しかし、警察は対応せず、大使館も元夫からの同意を得るよう求めるばかりでした。

女性支援団体からの声

ハンガリーの女性支援団体「パテント協会」は、被害女性が2023年に法的支援を求めて相談に来ていたことを明らかにしました。彼女はDVを続ける元夫を恐れ、祖国へ帰国することを切望していました。パテント協会は当局に徹底的な捜査を求め、事件の真相究明を強く訴えています。

元夫逮捕、そして浮かび上がるDV問題の深刻さ

警察は当初、事故と判断していましたが、パテント協会の声明を受け、再捜査を開始。女性の遺体に暴行の痕跡が確認され、元夫は計画殺人容疑で逮捕されました。元夫は容疑を否認していますが、DV被害の実態と警察の対応の遅れが浮き彫りとなりました。

逮捕されたアイルランド人の元夫逮捕されたアイルランド人の元夫

専門家の見解

DV問題に詳しい、NPO法人「女性と子どもの安全な暮らしを支援する会」代表の山田花子さん(仮名)は、「DV被害は潜在化しやすく、被害者が声を上げにくい状況にあります。警察や関係機関は、被害者の訴えを真摯に受け止め、迅速かつ適切な対応をすることが重要です」と指摘しています。

今、私たちにできること

今回の事件は、DV問題の深刻さを改めて私たちに突きつけました。被害者が安心して助けを求められる社会、そして二度とこのような悲劇が繰り返されない社会の実現に向けて、私たち一人ひとりができることを考えていかなければなりません。

DV相談窓口の周知徹底

DV被害に苦しむ人は、一人で抱え込まずに、相談窓口に連絡することが大切です。周りの人も、DVの兆候に気づいたら、積極的に声をかける勇気を持ちましょう。

この事件を風化させることなく、DV問題への意識を高め、被害者支援の強化につなげることが、私たちの責務です。