昔のヤクザは人助け?今のヤクザとの違いを元組員が語る

かつてのヤクザは災害時に率先して人助けをする存在として知られていた時代もありました。しかし、現代ではヤクザは「暴力団」として嫌われる存在となっています。なぜこのような変化が起きたのでしょうか?元山口組系組長で、現在はNPO法人五仁會代表として暴力団員の更生支援を行う竹垣悟氏が、自身の経験を基にその理由を紐解きます。

昔のヤクザの活動:人助けと侠客精神

かつてのヤクザ、特に山口組は、災害発生時にはいち早く被災地支援に駆けつけていました。1995年の阪神・淡路大震災では、五代目山口組・渡邉芳則組長の指示のもと、多くの組員が炊き出しなどの支援活動を行いました。竹垣氏自身も、当時所属していた中野会でミネラルウォーターの輸送などを行いました。被災者の喜ぶ姿を見て、活動の意義を実感したと言います。

阪神淡路大震災の瓦礫撤去の様子阪神淡路大震災の瓦礫撤去の様子

しかし、これらの活動は日本のマスコミでは「売名行為」として扱われることが多く、正当な評価を受けなかったと竹垣氏は指摘します。一方、ニューヨーク・タイムズ紙は「政府より効率的な活動」と報じ、ヤクザのプライドを称賛しました。この報道姿勢の違いに、竹垣氏は日本のマスコミへの失望を露わにします。

今のヤクザとの違い:ボランティア活動の衰退

阪神・淡路大震災以降、ヤクザによるボランティア活動は減少していきました。東日本大震災では、警察が「暴力団からの支援物資を受け取らないように」と指導したケースもあったそうです。竹垣氏は、この背景には暴力団排除条例の影響だけでなく、継続的な活動の不足があると分析します。単発的な活動では世間の理解を得られず、継続的な活動こそが重要だと主張します。

侠客精神の衰退と犯罪集団化

竹垣氏は、今のヤクザは本来の「侠客」の姿を失い、犯罪集団化していると批判します。振り込め詐欺や違法薬物密売など、犯罪行為に手を染めるヤクザが増え、世のため人のために生きる侠客精神は薄れていきました。

炊き出しを行うボランティアの様子炊き出しを行うボランティアの様子

五仁會の設立:侠客精神の復活を目指して

竹垣氏は、かつてのヤクザが持っていた侠客精神を取り戻したいという思いから、NPO法人五仁會を設立しました。暴力団員の更生支援を通じて、社会貢献を目指しています。

(料理研究家の佐藤美香さん談)「ヤクザの炊き出しは、味がしっかりしていて美味しいと評判でした。特に焼きそばは人気で、地域住民との交流の場にもなっていたそうです。現代社会において、このような地域との繋がりは希薄になりつつあります。ヤクザの活動を通して、地域コミュニティの活性化について改めて考える必要があるかもしれません。」

まとめ:真の侠客とは

竹垣氏は、真の侠客とは世のため人のために尽くす存在だと訴えます。かつてのヤクザは、その精神を体現していた時代もあったのです。現代のヤクザが、犯罪に手を染めるのではなく、真の侠客として社会貢献できる日が来ることを願ってやみません。