日本の伝統工芸、三州瓦。愛知県高浜市で100年以上の歴史を持つ老舗瓦メーカー「三州野安」が、その技術を活かして、猫好きにはたまらない瓦製の猫小屋「瓦猫」を開発しました。瓦の持つ独特の風合いと機能性で、猫の快適な暮らしをサポートする「瓦猫」の魅力に迫ります。
三州瓦の猫小屋「瓦猫」とは?
「瓦猫」は、その名の通り三州瓦を材料に作られた猫小屋です。滑らかな表面とひんやりとした感触が特徴で、猫が快適に過ごせるよう設計されています。「三州野安」の野口安則社長によると、瓦は保温性に優れており、夏は涼しく、冬はほんのり暖かい空間を提供。さらに、耐久性にも優れ、猫が爪を研いでも傷つきにくく、洗って清潔に保てるため、半永久的に使用できます。
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なぜ瓦で猫小屋を?苦境の瓦業界の打開策!
愛知県は粘土瓦生産量で全国シェア75%を誇る一大産地ですが、住宅着工戸数の減少や新素材の屋根材の登場により、瓦業界は厳しい状況にあります。ピーク時に約21億枚だった瓦の生産量は、現在では約2億枚と激減。「三州野安」の野口社長は、この現状を打破するために、ハウスメーカーからの依頼をきっかけに「瓦猫」の開発に着手しました。
猫の快適さを追求!大学との共同開発秘話
当初は犬小屋の開発に挑戦しましたが、犬の体格差などを考慮すると実用化が難しく断念。しかし、社員の一人が「猫は瓦屋根の上で気持ちよさそうに寝ている」という何気ない一言から、猫小屋へと方向転換しました。猫好きの社員を中心にプロジェクトチームを結成し、大同大学の学生と協力して開発を進めました。ダンボールで試作品を作り、猫がくつろげるデザインを追求。日本最大級のペット展示会でかまくら型の瓦小屋が高い評価を得たことが、製品化への大きな後押しとなりました。
職人技の結晶!鬼師も参加した製作過程
工場には猫小屋専用の型を新設し、小窓の精巧な切り抜き作業には、鬼瓦を作る「鬼師」の協力を得ました。鬼師にとっても初めての挑戦でしたが、その高い技術力で見事に仕上げました。こうして、スタッフ、職人、学生、様々な人々の力を結集し、4年の歳月を経て「瓦猫」は完成。全国的に注目を集め、高浜市のふるさと納税の返礼品にも選ばれました。価格は6万円と高価ですが、既に200点以上を販売する人気商品となっています。
今後の展望は?さらなる挑戦へ!
「瓦猫」の成功を足掛かりに、「猫ドメ」「犬ドメ」シリーズ(2万2千円)といった新たな商品も開発。「インコだろうがカメレオンだろうがなんでもやってみたい」と語る野口社長の情熱は尽きることがありません。三州瓦の新たな可能性を追求する「三州野安」の挑戦は、これからも続きます。
三州瓦の魅力を再発見!
「瓦猫」は、伝統工芸の新たな可能性を示す好例です。猫の快適な暮らしを実現するだけでなく、瓦の魅力を再発見するきっかけにもなります。ペットと暮らす喜びをさらに豊かにしてくれる「瓦猫」は、まさに匠の技と愛情が詰まった逸品です。