K-POP「本物」論争再燃:韓国国内でなぜ「西洋志向」に批判?

世界的に絶大な人気を誇るK-POP。最近、韓国国内では、そのあり方に対する厳しい目が向けられています。特に、グループが海外市場、中でも西洋を強く意識するようになったことに対し、「本物のK-POP」とは何かという議論が再燃しています。

人気K-POPグループTWICEのメンバーたち - 韓国国内での「前座」批判に関連人気K-POPグループTWICEのメンバーたち – 韓国国内での「前座」批判に関連

人気グループの「前座」や「ソロ活動」への批判

象徴的な出来事として、今年4月に英ロックバンド、コールドプレイが韓国公演を行った際、オープニングアクトを人気グループのTWICEが務めました。結成11年目の大物アイドルが「前座」を務めたことに対し、スペイン紙「エル・パイス」は韓国国内の反応として、このような批判を報じています。「結成11年目にもなるのに、西洋人というだけで他のアーティストの前座を務めるなんて。これは西洋に対する承認欲求の極みだ」。

批判の対象はTWICEだけではありません。BLACKPINKも、メンバーのソロ活動が明らかに西洋での成功を目指していることから、韓国らしさ、そしてK-POPというジャンル自体のあり方について議論を呼んでいます。「ジェニーの芸術とビジョンはすべて、米国に溶け込むための必死の策略に過ぎない」「リサは西洋からの承認を必死に求めているが、それは無理で、(出身国の)タイでチャートのトップに立てる程度だ」といった厳しい声が上がっていると同紙は伝えています。

国内ファンが求める「本物のK-POP」とは何か?

では、現在のK-POPを批判する国内ファンは、一体どんな要素を求めているのでしょうか。米カーネギーメロン大学の韓国研究者、マシュー・ベルビギエ助教は、「本物のK-POP」に対する認識は韓国人の間で多様であり、「国民性、言語、ジェンダー、文化的背景といった要因によって形作られる」と指摘します。

特に、多くのファンが快く思っていないのが、リサやジェニーといったメンバーのソロプロジェクトにおける西洋アーティストとの頻繁なコラボレーションです。ファンにとって重要な「純粋で本物のK-POP」という感覚は、楽曲が韓国語で歌われていることや、アーティストが韓国人またはアジア人的特徴を持っていることと強く結びついているためです。西洋アーティストの特徴を取り入れすぎると、西洋に認められたいという気持ちが過剰に見え、これが一部のファンを遠ざけている現状がある、とベルビギエ氏は分析しています。英語楽曲の増加や外国人メンバー、欧米アーティストとのコラボレーションを歓迎する声がある一方で、こうした要素が「K-POPらしさ」を損なうと感じ、離れていくファンも少なくないのです。

世界での成功を追求する過程で、K-POPはその表現方法や活動の場を広げてきました。しかし、その変化が韓国国内の一部ファンからは「本物らしさ」の喪失と捉えられ、厳しい批判に繋がっていることが分かります。グローバル化と国内市場のニーズ、そして「K-POPらしさ」とは何かという問いは、今後も議論の中心となりそうです。

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