霞が関の法務省で1月下旬、職員の間で動揺が広がりました。発端は、鈴木馨祐法相から職員へ配られた贈り物。崎陽軒の特注月餅セットでした。この心遣いが、公職選挙法違反の疑いを招き、波紋を広げているのです。
法相からの贈り物、その実態は?
第2次石破内閣で初入閣を果たした鈴木法相。麻生派所属の同氏は、前法相の落選により、岸田前総理の助言もあって抜擢されたと言われています。今回問題となっているのは、職員への慰労・激励の意を込めて配られたという崎陽軒の月餅。赤レンガの法務省庁舎が描かれた特注の包装紙で、3個入りのセットだったそうです。
法務省職員に配られた特注品の月餅
慰労?それとも違法な寄付?
一見、温かい心遣いに見えるこの行為ですが、公職選挙法違反の疑いが指摘されています。神戸学院大学の上脇博之教授は、「公職にある人物が選挙区内の人に寄付をすることは、公職選挙法で禁じられています。寄付は金銭だけでなく、飲食物も含まれます」と警鐘を鳴らします。 鈴木法相は、前回の総選挙で小選挙区(横浜市港北区)で敗北し、比例代表(南関東ブロック)で復活当選。南関東ブロックには千葉、神奈川などが含まれており、800人以上が勤務する法務省内に、これらの地域の職員がいれば、法律に抵触する可能性があるのです。実際に、南関東ブロック内の地域から通勤している職員からは、不安の声も上がっています。
法相の見解は?
鈴木法相は取材に対し、菓子は職員全体への慰労・激励の趣旨で差し入れたと説明していますが、違法な寄付にあたる可能性については見解を示していません。法務行政を預かる法相として、法律に関する明確な説明責任が求められます。
鈴木馨祐法相
今後の展開は?
今回の月餅配布問題は、単なる贈り物として片付けられるものでしょうか?法相の行為が公職選挙法に抵触するのか、今後の調査と説明が待たれます。この一件は、政治家と有権者の関係、そして公職にある者の倫理観を改めて問うものとなるでしょう。