いわゆる「エプスタイン・スキャンダル」を巡る米政界の混乱が、ドナルド・トランプ前大統領に新たな危機をもたらしています。ウォールストリート・ジャーナル紙(WSJ)が、富豪ジェフリー・エプスタイン氏に送られたとされる「猥雑な手紙」の存在を報じ、その詳細な内容が公になったことで、トランプ氏のイメージへの深刻な影響が懸念されています。トランプ氏自身は手紙の存在を全面否定し、関連メディアを提訴するなど強硬な姿勢を示していますが、手紙が公にされる可能性も浮上しており、今後の動向が注目されます。
エプスタイン・スキャンダルとトランプ氏に関する報道画像
物議を醸す「猥雑な手紙」の内容
問題の手紙は2003年、当時大統領就任前のトランプ氏が、少女買春などの容疑で勾留中に死亡したエプスタイン氏の50歳の誕生日に送ったものとされています。WSJが17日にその存在を公表し、AIのチャットGPTによる翻訳を交えて詳細を報じました。
WSJが確認した内容によると、手紙は「裸の女性の輪郭に囲まれ、トランプ氏の署名が陰毛を模しているように描かれた猥雑なもの」とされています。文末は「誕生日おめでとう──そして毎日がまた一つの素敵な秘密でありますように」と結ばれていました。トランプ氏とエプスタイン氏の長年の関係から、この「素敵な秘密」という言葉が、エプスタイン氏が斡旋したとされる少女買春へのトランプ氏の関与疑惑を暗示すると受け取られ、英テレグラフ紙は「エプスタイン問題は、トランプ大統領の最大の危機に」と報じています。
トランプ氏の全面否定と「名誉毀損訴訟」
こうした報道に対し、トランプ前大統領は「手紙はフェイク(偽物)だ。私は絵を描いたこともない」と強く否定しました。しかし、ニューヨーク・タイムズ紙は過去に彼が風景画を売っていたと報じており、絵心があることは知られています。
これを受け、トランプ氏は18日、WSJと同紙のオーナーである「メディア王」ルパート・マードック氏らに対し、名誉毀損で100億ドル(約1.5兆円)の賠償請求を求める訴訟を提起しました。さらにホワイトハウスは、トランプ氏のスコットランド訪問へのWSJの同行を拒否する報復措置に出ました。
手紙公開の可能性と今後の焦点
今回の訴訟で鍵となるのは、問題の手紙そのものの存在と公開の可否です。当初、司法省が保管しており公開は困難かとも言われていましたが、エプスタイン氏の被害者の弁護士ブラッドリー・エドワーズ氏が23日MSNBCテレビで、手紙はエプスタイン氏の遺産に含まれ、議会の提出命令があれば遺産管理者は提出をためらわないだろうと明らかにしました。
この発言は、手紙が今後公の場で開示される可能性を示唆しており、もしそうなれば、トランプ前大統領にとって深刻な打撃となることは避けられないでしょう。エプスタインを巡る一連の疑惑と、トランプ氏の関与に関するこの「猥雑な手紙」を巡る問題は、今後も米国の政治と社会に大きな影響を与えることが予想されます。
参照元
- FNNプライムオンライン: https://news.yahoo.co.jp/articles/e3b7362fe06be4472f51c15444c47fd2ff0b29a5
- The Wall Street Journal (WSJ)
- The Telegraph
- The New York Times
- MSNBC