人気映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』で、マイケル・J・フォックス演じる主人公マーティが欲しがっているクルマは、トヨタ自動車の「ハイラックス」でした。当時このクルマが若者に人気だったのには意外な理由があります。クルマにかかる税金、保険料、車検費用、高速道路料金とさまざまな規制について考えてみましょう。(モータージャーナリスト/安全運転インストラクター 諸星陽一)
● 高速道路の料金変動制で「得する人」と「損する人」
近い将来、自分のクルマが高速道路を走れない、高速道路料金が異常に高くなる、環七より内側の東京都内に入れなくなる……といった事態が起こるかもしれません。
時間帯や曜日などによって道路の通行料金を変更する、通行できるクルマの種類を限定するなどの施策を、「ロードプライシング」と呼びます。現在、高速道路の夜間割引などが行われているので、広義ではロードプライシングは実施されています。
ロードプライシングの主な目的は、渋滞を防止することです。渋滞防止は経済効果を高めるとともに、停滞するクルマを減らすことで排ガス排出量を抑え込む目的などもあります。
2021年に開催された東京オリンピック・パラリンピックでは、首都高速の料金が6時〜22時は1000円上乗せ、22時〜0時と4時〜6時は通常料金、0時〜4時は半額というロードプライシングが実施されました。このロードプライシングは一応成功し、昼間の首都高の渋滞は減ったと言われています。
しかし、他の高速道路から首都高に直接つながっている料金所では、通過可能なゲートの数を減らして他の高速道路側で渋滞を発生させ、首都高の渋滞を抑えるような方法も取られていたようです。料金上乗せが全ての成功要因だというのは、いささか疑問が残ります。
それはさておき、東京オリ・パラの際に首都高の料金が上乗せされたのは3、5、7ナンバーの乗用車で、1ナンバーや4ナンバーのトラックやバン、2ナンバーのバス、8ナンバーのキャンピングカーなどは含まれませんでした。そして料金が上乗せされたのは一部なのに、半額に割引されたのはETC利用の全車でした。
なんとも奇妙な車両区分ですが、これで得した人たちがいます。