欧州各国の首脳が17日、パリで非公式会合を開き、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの今後の支援について議論した。ロイター通信によると、停戦実現後のウクライナの平和維持に向けた軍部隊の派遣については意見が分かれた。
会合は14~16日にドイツで開かれたミュンヘン安全保障会議の期間中にフランスのマクロン大統領が呼びかけ、英国、ドイツ、スペイン、欧州連合(EU)などの首脳が参加した。ミュンヘン会議では、欧州の安全保障に対するトランプ米政権の消極的な姿勢が明確になり、欧州では防衛の「脱米国依存」が急務となっている。
トランプ米政権は、停戦へ向けたロシアとの交渉には前のめりな一方、停戦後のウクライナの平和維持は欧州が中心になるべきだとも主張している。こうした中、英国は16日、停戦後のウクライナへの英軍の派遣に前向きな姿勢を示した。
17日の会合でも、軍部隊の現地派遣について議論されたが、終了後、首脳からは否定的な声が相次いだ。ポーランドのトゥスク首相は記者団に対し「自国の軍を送るつもりはない」と語った。ショルツ独首相は、和平交渉が始まっていない段階での議論は「不適切」だと言及。イタリアのメローニ首相も否定的な姿勢を示したと報じられている。
一方、スターマー英首相は、ウクライナの安全保障を確保するためには米国の後ろ盾が「唯一の道」だと訴え、米国抜きで平和維持の展望を描くことの難しさを強調した。【ベルリン五十嵐朋子】