英議会解散 12月12日に向けた選挙戦本格開始





5日、ロンドンの首相官邸で発言するジョンソン英首相(AP=共同)

 【ロンドン=板東和正】英議会下院は6日、解散した。12月12日の総選挙に向けて、選挙戦が本格的に開始する。総選挙では英国の欧州連合(EU)離脱が主な争点となり、ジョンソン首相率いる与党・保守党はEUと合意した離脱協定案での離脱について国民に理解を求める方針。離脱をめぐる政治混迷が続く中、保守党が過半数の議席を獲得し、延期期限である来年1月末までに離脱を実現できるかが注目される。

 総選挙はメイ前政権下の2017年6月以来。今年7月に首相に就任したジョンソン氏にとり、総選挙は国民に初めて評価される「審判の場」となる。離脱の命運を有権者に委ねる「事実上の国民投票」との見方も出ている。

 EUは英国の離脱期限を10月末から最長で来年1月末に延期すると決定。当初は今年3月末とされていた英国の離脱期限の3度目の延期が確定している。保守党は過半数の議席を獲得し、来年1月末までに確実に離脱したい考えだ。ジョンソン氏は5日、ツイッターで「国を前進させ、人々にとって重要な課題を果たそう」と訴え、有権者に支持を呼び掛けた。

 一方、最大野党・労働党は総選挙で、離脱の是非を問う2度目の国民投票実施を提案する方針。野党第2党「スコットランド民族党(SNP)」や第3党「自由民主党」はEU残留を掲げる見通しだ。

 さらに、総選挙では、強硬な離脱を主張するファラージ党首率いる新党「離脱党」が全650選挙区で候補者を擁立する方針で、保守党と争うことになる。ファラージ氏は英領北アイルランドの関税手続きは当面EUルールに従うとしたジョンソン氏の協定案を「離脱ではない」と非難し続けている。

 英調査会社ユーガブによると、4日時点の保守党の支持率は38%で2位の労働党を13ポイント引き離しており、優勢だ。しかし、保守党は17年の前回総選挙の際、事前の世論調査では大勝が見込まれていたが、結果は過半数割れで、どの党も過半数を取れない「ハングパーラメント(宙づり議会)」を招いた。今回の総選挙でも予断を許さない状況とみられている。



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