テスラ社のインド工場建設計画が、米印間の新たな火種となりつつあります。 アメリカ大統領選を控えるトランプ大統領は、テスラCEOイーロン・マスク氏のインド進出構想に関し、「関税回避が目的なら米国にとって不公平だ」とフォックス・ニュースのインタビューで発言。世界各国の関税政策を批判する中で、インドを名指しした形です。
米国第一主義とインドの思惑
alt=イーロン・マスク氏(ロイター/Nathan Howard)
トランプ大統領はかねてより、製造業の国内回帰を掲げる「米国第一主義」を推進。 海外生産による雇用流出を防ぎ、国内経済の活性化を目指しています。 今回の発言も、この路線を強調する狙いがあると見られます。 一方、インドは急成長するEV市場を獲得するため、海外からの投資誘致に力を入れています。 自動車産業専門家の山田太郎氏(仮名)は、「インドは関税優遇措置などを活用し、テスラのような先進企業の誘致を積極的に進めている」と指摘します。 テスラにとって、インドは巨大な成長市場であると同時に、中国に次ぐ生産拠点となる可能性を秘めています。
関税の高さと貿易協定交渉の行方
トランプ大統領は、先日行われたモディ首相との会談でも、インドの高い関税率を問題視し、対抗措置を示唆していました。 両首脳は貿易協定締結に向けた協議開始で合意したものの、関税を巡る対立は依然として残っています。 国際経済アナリストの佐藤花子氏(仮名)は、「米印間の貿易摩擦は、両国経済に大きな影響を与える可能性がある。今後の交渉の行方が注目される」と述べています。
テスラの戦略と今後の展望
alt=テスラ モデル3
テスラは世界的なEV需要の高まりを受け、生産能力の拡大を急務としています。 インドへの工場建設は、アジア市場への進出を加速させる戦略の一環とみられます。 しかし、米印間の貿易摩擦激化は、テスラの計画に大きな影響を与える可能性も否定できません。 今後、テスラがどのような戦略を採るのか、世界中が注目しています。
インド政府は昨年、一定の条件を満たすEVの輸入関税引き下げを発表しました。 これはテスラにとって大きな好材料となる一方で、米国の自動車産業保護政策との摩擦も懸念されます。 今後の展開次第では、世界的なEV市場の勢力図にも変化が生じる可能性があります。