マルちゃん「赤いきつね」CM大炎上はウソ…危機管理のプロが東洋水産の対応を「完璧」と絶賛するワケ


 「非実在型ネット炎上」という言葉が注目を集めている。

【画像】これが性的!? 一部から批判された「赤いきつね」のアニメCM

 東洋水産が2月6日に公開した「赤いきつね 緑のたぬき」のウェブCM《「ひとりのよると赤緑」 おうちドラマ編》が一部から「性的」「いやらしい」と批判された。しかし、それらの批判に対して、国際大学グローコム客員研究員の小木曽健氏がYahoo!ニュースのコメント欄で「典型的な非実在型のネット炎上」と指摘したからだ。

 「何それ?」という人のため、わかりやすく言えば「炎上の粉飾」である。いや、「エア炎上」と表現したほうがピンとくるかもしれない。

 いわゆる「炎上」というのは、昨今のフジテレビ問題のようにネットやSNSでの批判が殺到した状態を指す。一方、「エア炎上」の場合、批判をしている人たちは「殺到」というほどでもない。むしろ、肯定・擁護の人に比べて「少数派」であるケースも多い。

 にもかかわらず、なぜ注目を集めることができるのかというと、ひとりひとりの「声」が大きい。いわゆる「ノイジー・マイノリティ」というヤツだ。彼らはSNSでかなり厳しい表現を用いて断罪したり、攻撃的な発言をしたりするので、メディアやSNSで取り上げられやすい。

 つまり、「見て見て、世の中にはこんなことに怒ってる人がいるんだよ」とバズっているだけなのだが、いいねやリツイートのボリューム的に世の大多数が叩いている「炎上」状態だと勘違されてしまうのだ。

 それは今回の騒動で、なにもコメントを出していない東洋水産を見ても明らかだろう。

 ご存じのない方のため、同社のウェブCMが「エア炎上」してしまった経緯を簡単に振り返ろう。まず、このCMはアニメである。

 「アニメ」を用いた広告やPRは「諸刃の剣」として知られている。多くの人に馴染みがある表現なので、バズりやすいという半面、「女性の描き方」によって多くの企業が謝罪・撤回に追い込まれている。

 なぜこんな死屍累々かというと、日本のアニメ界ではわりとオーソドックスな表現である、「幼さの残るビジュアルで極度に胸を誇張した女性」というものが、国際社会では「性の商品化」として批判・嫌悪の対象となってしまうからだ。また、これも日本人はそれほど気にしていない「明らかに未成年のような少女キャラクターが、ミニスカなど露出度の高いコスチュームを身にまとう」ような描写も世界では「児童ポルノ」という扱いだ。

 では、東洋水産もそういう同じ轍を踏んでしまったのかというと、まったく違う。

 女性が部屋でテレビドラマを視聴している。感動するような内容なのか、やがて女性の目から涙が溢れる。そこで「赤いきつね」が登場して、フタをあけて女性が泣きながら、うどんをすすったり、つゆを飲んだりしているのだ。

 「えっ? それだけ?」と驚くだろうが、それだけだ。しかし、批判をしている人たちは、うどんを食べるしぐさや、熱々のうどんを食べる女性の頬が紅潮をしているところが「性行為を想起させる」として気持ちが悪いと批判をしているのだ。

 この「少数派の感想」が、ネットニュースで大きく取り上げられて大バズりしてしまったというわけだ。

 ただ、こういう状態になっても東洋水産は今日にいたるまで、何もコメントを出していない。なぜこのようなCMを制作したのか。頬が赤いのは性行為を想起させたのか、など説明や反論は一切していない。



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