ウクライナ侵攻から3年が経とうとしています。多くのウクライナ国民がヨーロッパ各国に避難し、チェコも約39万人の難民を受け入れています。EUの中でも積極的な支援を行ってきたチェコですが、難民を取り巻く状況は厳しさを増しています。本記事では、チェコで生活するウクライナ難民の現状、支援縮小の影響、そして賃金未払い問題の実態に迫ります。
支援縮小で生活苦に陥るウクライナ難民
プラハ郊外で行われた食糧支援の配布には、およそ300人のウクライナ難民が訪れました。多くの人々が、生活の苦しさを訴えています。チェコ政府は難民への補助金を提供していますが、2年前に減額され、昨年9月には高齢者などへの住居無償提供も廃止されました。
「以前は月3万円ほどの補助金がありましたが、今は2万円に減りました。子ども3人を含む4人家族で、この金額では生活が苦しいです。同居していたため、母の住宅補助も打ち切られてしまい、困っています。」(6人家族のウクライナ難民)
プラハ郊外で行われた食糧支援の配布の様子
「共同住宅の1部屋で生活していますが、家賃が高くてアパートを借りることができません。補助金が減額された今、生活はさらに苦しくなっています。」(シングルマザーのウクライナ難民)
共同住宅での過酷な生活:8人で1部屋
家賃の高騰により、多くのウクライナ難民が共同住宅での生活を余儀なくされています。老朽化した建物を補修した共同住宅では、1部屋の家賃が約9万円にも上ります。
「この狭い部屋に8人で暮らしています。アパートの家賃が払えなくなって、ここに引っ越してきました。」(20歳のキンドリッヒさん)
老朽化した建物を補修した共同住宅の1室。8人で生活している
キンドリッヒさんは派遣会社を通じて電気店で働いていましたが、3ヶ月分の給与が未払いとなり、アパートの家賃を支払うことができなくなりました。
横行する賃金未払い問題
チェコでは、ウクライナ難民を狙った賃金未払い問題が深刻化しています。
「多くの難民は仕事を紹介するという業者の言葉を信じて働きますが、実際には約束された賃金の半分しか支払われなかったり、突然解雇されたりするケースが続出しています。」(ウクライナ難民支援を行うヤロスラヴ・チェパ弁護士)
ウクライナ難民の賃金未払い問題について語るヤロスラヴ・チェパ弁護士
被害を訴える難民らは派遣会社に給与の支払いを求めましたが、事務所はもぬけの殻でした。
「業者が支払うまで、私たちは諦めずにここに来続けます。」(ヤロスラヴ・チェパ弁護士)
避難先での厳しい現実
ウクライナ侵攻から3年。避難生活を送るウクライナ難民は、チェコにおいても支援縮小や賃金未払いといった厳しい現実に直面しています。彼らの生活の安定と権利の保護に向けた、さらなる支援が求められています。