インド総選挙後のモディ首相支持:揺るぎない岩盤支持層はどこに?

インド総選挙でインド人民党(BJP)が過半数割れとなった今、モディ首相の支持層はどのような状況なのでしょうか?本記事では、南インドを旅した筆者の見聞を基に、モディ首相への根強い支持の理由を探ります。さらに、インドの経済成長と貧困問題の矛盾、そしてヒンズー至上主義の影についても考察します。

モディ首相への揺るぎない支持:現場の声

2024年の総選挙でBJPは過半数を割り込みましたが、南インド各地でモディ首相への強い支持の声を聞きました。2019年の総選挙後、西インド・中央インドでも同様の熱狂を目の当たりにしましたが、今回の旅でもその熱は冷めていないことを実感しました。

ムンバイ:老舗ホステルのオーナーの熱弁

ムンバイの老舗ホステルで出会った3代目オーナーは、モディ首相の熱烈な支持者でした。彼はパキスタンとイスラム教徒をテロリストと断定するなど、典型的なヒンズー至上主義者の見解を示しました。

ムンバイの街並みムンバイの街並み

ゴア:中国脅威論と“強いインド”への期待

ゴアのホステルのマネージャーは、中国の脅威に対抗するには“強いインド”が必要だと主張し、モディ首相の指導力に期待を寄せていました。彼は、中国が周辺国への影響力を強めていると指摘し、パキスタンをテロリストの温床と断言しました。

ハンピ:国民会議派への批判とモディ首相の経済政策への評価

ハンピのゲストハウスのオーナーは、国民会議派を批判し、モディ首相の経済政策を高く評価していました。彼は、国民会議派は社会主義的な経済政策でインド経済を停滞させたと批判し、モディ首相が10年間でインド経済を急速に発展させたと賞賛しました。

ハンピの遺跡ハンピの遺跡

経済成長と貧困問題の矛盾:影に潜むカースト制度

インドは経済成長を遂げている一方で、依然として深刻な貧困問題を抱えています。路上生活者の数は減っておらず、その背景にはカースト制度という根深い社会問題が存在します。専門家の中には、経済成長の恩恵が一部に偏り、カースト制度による差別が貧困問題を悪化させていると指摘する声もあります。(例:インド社会学者 アマルティア・セン氏の研究)

ヒンズー至上主義の光と影

モディ首相の支持基盤には、ヒンズー至上主義を掲げる人々が一定数存在します。彼らは“強いインド”の実現を期待し、モディ首相の指導力に信頼を寄せています。しかし、ヒンズー至上主義は宗教対立や社会の分断を招く可能性も孕んでおり、その影響について慎重に見極める必要があります。

インドの宗教行事インドの宗教行事

まとめ:今後のインドの行方

インド総選挙の結果は、モディ首相への揺るぎない支持と、変化を求める声のせめぎ合いを映し出しています。今後のインドの政治、経済、社会がどのような方向に進んでいくのか、引き続き注目していく必要があります。