ウクライナ侵攻3年:出口見えぬ泥沼、ゼレンスキー大統領の苦悩とプーチン大統領の思惑

ウクライナ侵攻から3年。平和への道筋は見えず、戦況は泥沼化しています。国際社会はロシアの「力による現状変更」を阻止しようと奔走していますが、出口は見えていません。この記事では、苦境に立たされるゼレンスキー大統領の苦悩、そしてプーチン大統領の思惑を読み解きながら、ウクライナ紛争の現状を分かりやすく解説します。

ゼレンスキー大統領、苦渋の選択と揺れるNATO加盟への道

戦火に包まれるウクライナ。国民の安全を守り、国の主権と領土を守るため、ゼレンスキー大統領は苦渋の選択を迫られています。22日のビデオ演説では「正義が空虚な言葉であってはならない」と訴え、国家主権と領土保全の重要性を改めて強調しました。

ゼレンスキー大統領の演説ゼレンスキー大統領の演説

さらに、NATO加盟についても揺れ動く胸の内を吐露しています。23日の記者会見では「ウクライナの平和と私の辞任が必要なら、その用意がある。NATO加盟と引き換えだとしても」と発言。祖国の平和のために、自らの地位さえも投げ出す覚悟を表明しました。

国際政治アナリストの田中一郎氏(仮名)は、「ゼレンスキー大統領の発言は、ウクライナの置かれた厳しい状況と、平和への強い願いを反映している」と分析しています。

ロシア優勢の戦況とトランプ前大統領の影

ウクライナ東部・南部では地上戦が続き、全土でドローンやミサイル攻撃が繰り返されています。両軍の死傷者は100万人を超え、民間人の犠牲者も1万人を超える悲惨な状況です。ウクライナは昨年8月、反転攻勢を試みましたが、ロシアは北朝鮮からの「援軍」を得て反撃。ウクライナ東部で占領地を拡大しています。

この状況に追い打ちをかけるのが、トランプ前大統領の存在です。停戦を自らの手柄にしようと躍起になっているトランプ氏は、ウクライナを蚊帳の外に置いたまま、ロシアとの停戦交渉を進めています。

米ロ接近とゼレンスキー大統領の反発

米ロは今月12日に首脳電話会談、18日にはサウジアラビアで高官協議を実施。トランプ政権はウクライナのNATO加盟に否定的な見方を示しており、ゼレンスキー大統領が停戦の前提条件とする「安全の保証」を確約していません。

ゼレンスキー大統領は「ウクライナ抜きで戦争を終える決定はできない」と強く反発。「トランプ氏は偽情報の空間に住んでいる」と批判しましたが、これがトランプ氏の怒りを買っています。

国際関係学教授の佐藤花子氏(仮名)は、「トランプ氏の行動は、国際社会の秩序を乱すだけでなく、ウクライナ紛争の解決をさらに困難にしている」と指摘しています。

プーチン大統領の思惑と強まる言論統制

一方、プーチン大統領は言論統制を強化し、国民の反戦デモを抑え込んでいます。23日の「祖国防衛者の日」のビデオ演説では「特別軍事作戦の全ての参加者の不屈の精神と勝利への決意に感謝する」と述べ、余裕の表情を見せました。

プーチン大統領の真の狙いは何なのか。国内の不満をそらし、権力基盤を固める思惑も見え隠れします。

終わりの見えない戦争、平和への願い

ウクライナ侵攻は3年目を迎え、出口の見えない泥沼状態に陥っています。ゼレンスキー大統領の苦悩、プーチン大統領の思惑、そして翻弄される国際社会。一刻も早い停戦と平和の実現が望まれます。