伊藤詩織氏が監督を務めたドキュメンタリー映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」を巡る無許可映像使用問題について、東京新聞の望月衣塑子記者が2月20日、日本外国特派員協会で改めて苦言を呈しました。本記事では、望月記者の発言内容やこの問題の背景、今後の展開について詳しく解説します。
無許可映像使用問題とは?
この問題は、伊藤氏が自身の性被害をテーマに制作した映画「ブラック・ボックス・ダイアリーズ」において、複数の関係者から許可を得ずに映像が使用されていたことが発覚したことから始まりました。望月記者は1月14日付の東京新聞で、女性記者たちが性被害について語り合った非公開集会の映像が無断で使用されていたと報じ、問題を提起しました。
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望月記者の主張
望月記者は会見で、映画が米アカデミー賞にノミネートされるなど海外で高い評価を受けていることに触れつつも、「海外で受け入れられても、踏みつけられる人がいる。支援者や無断使用されている人々を苦しめない方向で映像を作り直してほしい」と訴えました。 一部で再編集の報道があるものの、本来は海外の映画祭に出展する前に対応すべきだったと指摘し、対応の遅れを批判しました。
伊藤氏の対応と望月記者への提訴
伊藤氏は2月10日、望月記者の報道によって名誉を毀損されたとして、損害賠償を求めて東京地裁に提訴しました。20日には声明を発表し、「映像を使うことへの承諾が抜け落ちてしまった方々に、心よりおわびする」と釈明しましたが、望月記者への提訴は取り下げていません。この点について、望月記者は「なぜ提訴が取り下げられないのか疑問に思う人がいる。私自身もなぜなのか理解できない」と述べています。
元支援者としての苦悩
望月記者は以前から伊藤氏を支援していました。今回の問題について「苦しいといえば苦しい。支援していた人たちも分断されている」と心境を吐露しました。しかし、映画で無断使用された人々の中には、さらに苦しい立場にある人がいると語り、「納得できない、声を伝えてほしいという人がいるから取材している」と、ジャーナリストとしての使命感を強調しました。
代理人弁護士も問題視
伊藤氏の性被害関連訴訟の代理人弁護士だった西広陽子弁護士ら3人は、20日午前に特派員協会で会見を開き、映画について「黙って使われた人々の人権が侵害された」と問題視し、改めて無許可部分の修正を求めました。西広弁護士は、「8年以上も時間とエネルギーを彼女を守るために必死に費やした。なんてみじめなのか」と、これまでの支援活動に対する無念さをにじませました。
今後の展開は?
伊藤氏による謝罪と再編集の意向表明があったものの、無許可使用された映像の修正がどのように行われるのか、また望月記者への提訴が取り下げられるのかなど、今後の展開が注目されます。 この問題は、表現の自由と個人の権利のバランス、そしてドキュメンタリー映画制作における倫理的な側面を改めて問うものとなっています。今後の動向を注視していく必要があるでしょう。