中国軍タスマン海演習:民間機迂回飛行の波紋、ピーターズ副首相訪中で協議へ

中国軍がタスマン海で実施した実弾演習に対し、ニュージーランドのラクソン首相は懸念を示しました。事前通告が直前だったことに加え、オーストラリアとニュージーランドを結ぶ民間航空機が迂回飛行を余儀なくされたことを問題視しています。25日から中国を訪問するピーターズ副首相兼外相が、王毅共産党政治局員兼外相との会談でこの問題を取り上げる予定です。

事前通告の遅延と民間機への影響

中国軍は21日からタスマン海の公海上で、フリゲート艦を含む3隻による軍事演習を開始し、実弾射撃を行いました。しかし、中国側からの通告は当日だったため、民間航空機の運航に影響が出ました。オーストラリアとニュージーランド間のフライトは、安全確保のため迂回飛行を強いられました。この事態を受け、ラクソン首相は「混雑する航路では、より早い段階での通告が必要だった」と述べ、中国側の対応に苦言を呈しました。国際法違反ではないものの、民間航空の安全を脅かす可能性がある行為として、国際社会からの注目を集めています。

タスマン海の地図タスマン海の地図

ニュージーランド政府の対応と今後の展望

ニュージーランド政府は、今回の演習に対する懸念を中国側に伝達する方針です。ピーターズ副首相は25日から中国を訪問し、王毅外相との会談でこの問題を議題に挙げ、より適切な情報共有の仕組みを構築するよう求める予定です。「国際的な航路における軍事演習は、綿密な調整と透明性の高い情報公開が不可欠です」と語るのは、国際安全保障の専門家である佐藤一郎氏(仮名)。今回の事態は、中国との外交関係における新たな課題として、今後の両国関係に影響を与える可能性があります。

ニュージーランドと中国の国旗ニュージーランドと中国の国旗

タスマン海における安全保障の重要性

タスマン海は、オーストラリアとニュージーランドにとって重要な海上交通路であり、経済活動や安全保障上、極めて重要な海域です。今回の中国軍の演習は、この地域の安全保障環境に影響を与える可能性があることから、ニュージーランドだけでなく、周辺国からも懸念の声が上がっています。今後、中国がどのような対応を示すか、国際社会の注目が集まっています。専門家の間では、地域全体の安全保障を確保するために、多国間での対話と協力の重要性が高まっているとの見方が広がっています。

ニュージーランド軍の発表によると、中国艦3隻はタスマニア島沖約520キロの海域に展開していたとのことです。この海域における軍事活動の活発化は、地域全体の緊張を高める可能性があり、関係各国は注視を続けています。