「ノージャパン」を越え 韓国市場で日本ビールが急回復、各社が攻勢

かつて「ノージャパン運動」の象徴として韓国市場で売り上げが激減した日本産ビールが、再び市場での存在感を強め、首位を奪還しつつある状況です。これを受け、日本のビールメーカー各社は、ブランドの定着と販売拡大を目指し、積極的なマーケティング戦略を本格化させています。

輸入額に見る回復の兆し

日本産ビールは2019年の「ノージャパン運動」により韓国市場から一時的に姿を消しました。当時のビールの輸入額は3976万ドルから、翌2020年には567万ドルへと急落しました。しかし、その後回復基調に転じ、2022年には1448万ドル、2023年には5552万ドル、そして2024年には6745万ドルを記録しました。2025年も5月時点で既に2817万ドルに達しており、好調を維持しています。

韓国市場で人気を回復している日本産ビール、コンビニに並ぶアサヒスーパードライ韓国市場で人気を回復している日本産ビール、コンビニに並ぶアサヒスーパードライ

回復を後押しする要因

このような回復の背景には、韓国国内での日本製品に対する拒否感の低下が挙げられています。ユニクロや無印良品といった他の日本ブランドの売り上げ回復も、この傾向を裏付けています。また、日本旅行への需要回復も、日本製品への親近感を高め、ビール消費を後押ししていると考えられます。

日本メーカー各社の積極的な戦略

韓国でアサヒビールを販売するロッテアサヒ酒類は、ガールズグループ「BLACKPINK(ブラックピンク)」を「アサヒスーパードライ」のグローバルアンバサダーに起用し、アジア圏や欧米市場でのブランド影響力拡大を見込んでいます。さらに、ソウルのMZ世代に人気のある聖水洞(ソンスドン)では、日本やフランスなどをテーマにした「アサヒトラベルバー」と名付けた体験型ポップアップストアを運営し、若年層との接点強化を図っています。「サッポロ」や「ヱビス」ビールを輸入販売するエムズベバレッジも、外食業界出身の専門家をCMOに迎え、ブランディング強化とブランドの再構築を進めています。

日本酒も人気の再燃

ビールだけでなく、日本酒も韓国で人気が再燃しています。韓国への清酒輸入量は2020年の2379トンから、2022年に4840トン、2023年には5684トンと毎年増加傾向にあります。今年5月時点の輸入量も既に3000トンを超えており、年間では昨年を上回る見込みです。

ある流通業関係者は、「以前はノージャパン運動の影響で日本産の消費財は大きな打撃を受けたが、最近は日本製品への抵抗感が薄れている。こうした市場環境の変化に乗じて、日本の酒類メーカー各社は積極的に韓国市場での地位確立を図っている」とコメントしています。

韓国市場における日本産ビールの顕著な回復は、消費者の意識変化と日本企業の積極的なマーケティング活動が合致した結果と言えるでしょう。

出典: KOREA WAVE/AFPBB News