【ワシントン=大内清】米ホワイトハウスで24日行われた米仏首脳会談で、トランプ米大統領が、米国はウクライナへの支援を無償で行ってきたのに、欧州諸国は貸し付けの形で行っているのは不公平だと主張したのに対し、マクロン仏大統領が「違う」と訂正する場面があった。首脳同士の公開の場でのやり取りで、相手の誤りを指摘する〝ファクトチェック〟が行われるのは異例。
【画像】ウクライナ新兵器「ドラゴンドローン」…2200度の溶解鉄降らせる
トランプ氏は会談冒頭を取材する記者団とのやりとりで、米国の対ウクライナ支援は無償供与が中心のため、見返りとして同国の鉱物資源の権益確保が必要だとの考えを強調。それに比べて「欧州(の支援)はウクライナへのローンなので金を取り戻せる」と主張し不満をあらわにした。
これに対しマクロン氏はトランプ氏の発言をさえぎり、「事実としてわれわれ(欧州諸国)は支援全体の60%を(ローンではなく)支払っている」と反論。「米国と同様に、貸し付けや無償供与などを通じて(支援が)行われている」と言い返した。
トランプ氏はしばしば、対ウクライナ支援で米国は欧州よりはるかに過大な負担を強いられているとも主張。ただ、独シンクタンク「キール世界経済研究所」の集計によると、昨年12月時点での軍事、財政、人道分野を合わせた支援表明額は欧州諸国が計約1320億ユーロ(約20兆7300億円)で、米国の約1140億ユーロを上回る。
一方、トランプ氏はこの日、記者団から、ウクライナのゼレンスキー大統領を「独裁者」と呼んだことに関連して「プーチン露大統領もそう呼ぶのか」と聞かれたのに対し、「おいそれと使える言葉ではない。(今後の交渉が)どうなるか見極めよう」とするにとどめ、明言を避けた。