アニメ化決定のニュースは、ファンにとってこの上ない喜び。しかし、期待が高まる一方で、制作中止という悲しい結末を迎える作品も存在します。一体なぜ、このような事態が起こるのでしょうか?今回は、アニメ化が中止になった2つの作品を取り上げ、その背景を探ります。
模倣疑惑で幻となった『東京BABYLON 2021』
CLAMP原作の『東京BABYLON』は、陰陽師の主人公が怪奇事件に挑む物語。社会問題も織り交ぜたストーリーが人気を博し、OVA化や実写ドラマ化も実現しました。2020年には満を持してアニメ化が発表され、ファンは歓喜に包まれます。
しかし、喜びも束の間、キャラクターの衣装デザインに韓国アイドルグループの衣装との類似点が指摘され、騒動へと発展。制作会社も模倣を認め、その後も複数の盗用疑惑が浮上。協議の結果、2021年3月、放送中止とプロジェクト解散という苦渋の決断が下されました。
東京BABYLON 愛蔵版 第1巻
声優に水樹奈々さんを起用するなど、期待値が高かっただけに、ファンの落胆は計り知れません。著作権やデザインのオリジナリティは、コンテンツ制作において非常に重要な要素であることを改めて認識させられる出来事となりました。
ヘイトスピーチ問題で頓挫した『二度目の人生を異世界で』
2014年に「小説家になろう」で発表された『二度目の人生を異世界で』は、94歳の剣術家が異世界転生する物語。メディアミックス展開が進み、2018年5月にはアニメ化が決定。10月からの放送を予定していました。
しかし、主人公が異世界転生前に中国大陸で従軍し、多くの虐殺に関わっていたという設定が中国メディアで問題視されます。さらに、原作者の過去のヘイトスピーチが発覚し、炎上騒ぎへと発展。原作者は謝罪文を発表し、書籍の修正を申し出ますが、事態は収拾せず。
出演予定だった声優が降板を表明し、6月にはアニメ制作中止が決定。アニメ化決定からわずか1ヶ月でのスピード中止劇となりました。
作品の内容や作者の言動が社会に与える影響の大きさを痛感させられる事例と言えるでしょう。表現の自由と社会への責任のバランスを問う、難しい問題を提起した出来事でした。
まとめ
今回紹介した2つの作品は、異なる理由でアニメ化が中止となりました。著作権侵害やヘイトスピーチなど、社会的な問題がアニメ制作に大きな影響を与えることを示す事例です。アニメ制作には、クリエイティブな才能だけでなく、倫理観や社会への責任感も求められると言えるでしょう。