政府は7日の非常災害対策本部会議で、台風15号や19号など一連の暴風雨による被災地支援のための対策パッケージをまとめた。複数の中小企業でつくるグループに設備の復旧費用を補助する「グループ補助金」制度の適用などが柱で、本年度予算の予備費から1300億円以上を充て、早期の復興を目指す。
安倍晋三首相は会議で「被災地のニーズや地域ごとの特性を踏まえ、きめ細やかな取り組みをさらに加速させる必要がある」と強調。8日に支出を閣議決定する方針を示した。
グループ補助金は、特に被害が甚大な宮城、福島、栃木、長野の4県で、中小企業がまとまって事業計画を作れば、復旧費用の最大4分の3を支援する。東日本大震災からの復興途上にある福島、宮城両県は支援をさらに手厚くする。
農林水産関連では、リンゴやモモなど果樹の植え替えで収入が途絶える農家への支援策を拡大する。洪水などで農地に堆積し、復旧の妨げになっている稲わらの撤去も支援し、農業を早期に再開できる環境を整備する。
休業手当や賃金の一部を補助する「雇用調整助成金」の要件を緩和し、助成率を引き上げる。災害で事業所が休業した場合にも失業手当を支給する。
被災地を訪れる観光客を対象に1人1泊当たり5千円の旅行代金の割引も導入し、観光復興を後押しする。
住宅が全壊した世帯などに最大300万円の「被災者生活再建支援金」を支給するほか、災害救助法に基づく住宅の応急修理費の支援対象を、従来の「半壊」以上から「一部損壊」まで拡大し、最大30万円を支援する。がれきなど災害廃棄物に関する自治体の撤去費用を軽減し、生活圏内からの年内撤去を目指す。