兵庫県知事、斎藤元彦氏をめぐる告発文書問題で揺れた県議会調査特別委員会(百条委員会)の調査報告書がついに完成間近となりました。当初は斎藤知事による「告発者捜し」の公益通報者保護法抵触の有無や、パワハラ認定をめぐり意見が対立し紛糾していましたが、維新の会の失速を契機に急展開を迎えたのです。
斎藤知事擁護の維新、失速で風向き一変
当初、百条委員会の副委員長を務めていた維新の岸口実県議は、告発者に関する真偽不明の文書を「NHKから国民を守る党」党首、立花孝志氏に渡したとして除名処分に。さらに、同じく維新の増山誠県議も秘密会の音声データを立花氏に漏洩したとして離党勧告処分を受けました。両氏とも百条委員会の委員を辞任し、維新は窮地に立たされました。
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この失速劇が、報告書の内容に大きな影響を与えました。18日に示された当初案には、「告発文書の多くは公益通報に該当しない」「告発者捜しはやむを得なかった」といった斎藤知事擁護の立場からの意見が「なお書き」として追記されていました。これは維新の強い意向によるものでした。
しかし、岸口氏と増山氏の辞任後、27日の協議会で示された修正案では、これらの「なお書き」は全て削除。自民会派のある委員は、「維新側から降りてくれた」と証言しています。他の会派からも、維新の主張は会派内での意見集約を経た独断だったのではないかとの声が上がっています。
調査報告書、最終調整へ
維新の県議は、会派としての意見集約はなかったとしつつも、大枠の意見はこれまでと変わらないとの認識を示し、修正案への合意については「委員に一任」と述べるにとどまりました。
百条委員会の奥谷謙一委員長は、「修正案をたたき台に議論し、さらに修正を加えた最終案を提示する」と表明。報告書完成に向けた最終調整に入りました。
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今回の騒動は、地方自治における透明性や情報管理の重要性を改めて浮き彫りにしました。今後、報告書が正式に公表されれば、県政の信頼回復に向けた議論が本格化する見込みです。