【北京=三塚聖平】中国税関総署が8日発表した10月の貿易統計(ドル建て)によると、輸出は前年同月比0・9%減の2129億3000万ドル(約23兆3000億円)で3カ月連続のマイナスだった。輸入は6・4%減の1701億2000万ドルで6カ月連続で悪化。同月の対米輸出は16・2%減、輸入は14・3%減と2桁減だった。貿易戦争で米中両国が制裁関税を掛け合う状態が固定化し、輸出入にマイナス影響を与えている。
一方、1~10月の対米貿易総額は、前年同期比14・9%減の4478億3000万ドルだった。輸入が25・4%減と大きく落ち込み、輸出も11・3%減と悪化している。
米中両国は10月、「第1段階」の貿易協定に暫定合意。中国の習近平国家主席とトランプ米大統領が首脳会談を行い、合意文書に署名することを目指して内容を詰める作業を行っている。貿易戦争による経済への打撃は徐々に拡大しており、事態の沈静化にこぎ着けられるかどうかが景気の先行きを左右する。
貿易協議をめぐり中国側は、貿易に大きな影響を与える発動済みの制裁関税の取り消しを重視する姿勢を見せる。7日には中国商務省の高峰報道官が、米国との貿易協議の進展に応じて段階的に追加関税を取り消すことで米側と同意したと表明している。ただ、11月中旬を目指した部分合意の署名が12月に遅れる可能性が欧米メディアで報じられるなど、貿易協議の先行きには依然として不透明感も漂う。