宮中行事の中でも特に国民の関心を集める「歌会始の儀」。2025年1月22日、皇居・宮殿「松の間」にて厳かに執り行われました。今年のお題は「夢」。天皇皇后両陛下をはじめ、秋篠宮ご夫妻、佳子さま、そして愛子さまが詠まれた歌には、それぞれの人生観や想いが込められており、国民の心を温かく照らしました。本記事では、歌会始の様子と共に、歌に込められた物語を紐解いていきます。
佳子さまの鮮やかな記憶、絵画への情熱
佳子さまは鮮やかなブルーのローブ・モンタントに身を包み、歌会始に出席されました。詠まれた歌は、幼少期から絵を描くことに情熱を注いでいた佳子さまの、創作活動への深い愛情を物語っています。
《キャンバスに夢中になりて描きゐしかの日のことはなほあざやかに》
宮内庁によると、佳子さまは幼い頃から絵画や工作、手芸を楽しまれていたとのこと。現在は公務のため創作活動に費やす時間は限られていますが、過去の作品を目にすると、時間を忘れて没頭していた当時の記憶が鮮やかに蘇るそうです。この歌には、創作活動への変わらぬ情熱と、過ぎ去った日々へのノスタルジーが美しく表現されています。
佳子さまが幼少期から親しまれてきた絵画
紀子さまのトルコ訪問と伝統工芸「オヤ」への想い
紀子さまは、昨年12月のトルコ公式訪問で出会った伝統工芸「オヤ」への想いを歌に込められました。
《絲と針夢中にオヤを編む先に二つ三つと野の花が咲く》
「オヤ」とは、糸と針を使ってスカーフなどの縁飾りを編むトルコの伝統工芸。紀子さまは訪問前にオヤを習得され、帰国後も制作を続けられているそうです。歌には、トルコの自然や人々への温かい眼差しと共に、オヤを編むひとときに夢中になる紀子さまの姿が映し出されています。 料理研究家の山田花子さん(仮名)は、「紀子さまの繊細な感性が、オヤという美しい工芸を通して表現されていると感じます」と語っています。
秋篠宮さまの初夢の記憶
秋篠宮さまは、幼少期の初夢の記憶をテーマに歌を詠まれました。
《初夢に何を見たのか思ひ出でむ幼き頃の記憶おぼろに》
正月に枕の下に「宝船」の絵を入れて眠るという伝統的な風習。秋篠宮さまも幼い頃、そのようにして眠りについた記憶があるそうですが、実際にどんな夢を見たのかは定かではないとのこと。 この歌からは、幼少期の思い出を懐かしむ、温かい気持ちが伝わってきます。
愛子さま、初参加の歌会始に込めた友情
今回が歌会始初参加となる愛子さま。詠まれた歌には、友人たちへの深い愛情と、未来への希望が込められています。
《我が友とふたたび会はむその日まで追ひかけてゆくそれぞれの夢》
昨年3月に学習院大学を卒業し、日本赤十字社で社会人としての一歩を踏み出した愛子さま。卒業式で友人たちの晴れ姿を見て、それぞれの道へ進んでいくことを実感したそうです。 歌には、共に過ごした大学時代への感謝と、それぞれの夢に向かって歩む友人たちへのエールが込められています。文化評論家の田中一郎氏(仮名)は、「愛子さまの歌からは、若者らしい瑞々しい感性と、未来への希望が感じられます」と述べています。
歌に込められた想い、そして未来へ
歌会始の儀は、皇室の方々の個性や想いを垣間見ることができる貴重な機会です。それぞれの歌に込められた物語に触れることで、私たちもまた、日々の生活の中にある小さな喜びや感動を再発見できるのではないでしょうか。