【台風19号】特産の青ノリ守れ 漁場ゴミを一斉撤去 福島県相馬市





松川浦で回収したゴミを引き上げる漁業関係者=8日、福島県相馬市(芹沢伸生撮影)

 台風19号などに伴う記録的大雨で大量のゴミが流入し、特産の青ノリが危機に陥った福島県相馬市の松川浦で8日、漁業関係者が一斉に流木などの撤去作業を行った。松川浦の青ノリは、東日本大震災と東京電力福島第1原発事故後、生産自粛に追い込まれ昨年2月、約7年ぶりに出荷が始まったばかり。度重なる逆風に関係者のショックは大きいが「頑張るしかない」と前を向いている。

 松川浦には10月の大雨で氾濫した宇多川と小泉川が流れ込む。大雨の後、ノリの養殖棚にはゴミが付着し「取るだけでも大変な状況」(漁業関係者)になっている。これまでゴミの撤去は個人単位で行っていたが、効率を高めるため松川浦にある5地区の漁業関係者が協力し、初めて一斉撤去を行った。

 午前7時に始まった作業には約80人が参加。養殖棚にからまったり、海面を漂ったりしていた木くずを次々と船に引き上げた。太さが30センチ以上もある幹など、大きなものはロープで漁港まで引っ張って回収。岸壁に上げる際には、8人がかりで持ち上げったものもあった。作業が終わる午前10時頃には、岸壁の一角が回収した樹木で山のようになった。

 松川浦は全国有数の青ノリ産地として知られ、来年1月に本格化する3回目の出荷に向け、準備を進める中、記録的大雨に見舞われた。

 相馬双葉漁協の山下博行理事(66)は「東日本大震災の津波で漁場が土砂で埋まり、原発事故では出荷自粛になった。何とか再出荷にこぎつけ、青ノリの出荷量を震災前の2割に戻そうという段階だった」と悔しさを隠さない。

 山下理事は「青ノリにゴミが付くと品質が落ちて売り物にならなくなる。みんなショックを受けているが、人力で取るしかない」という。一斉撤去は11日にも行われる。



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