電気自動車(EV)大手、BYDが保険業界に参入したものの、初年度から大きな壁に直面している。傘下のBYD財産保険の2024年度決算は、売上高約290億円に対し、35億円もの赤字を計上した。その背景には、EV保険特有の難しさがあるようだ。一体何がBYDの保険事業を苦しめているのだろうか?
売上は好調も、赤字の原因は?
BYD保険の2024年度の売上高は約290億円と、急成長を遂げている。そのほとんどが自動車保険であり、直販チャネルによるものだ。しかし、純損益は35億円の赤字となっている。コンバインドレシオは308.81%、保険金支払率は233.92%と、業界平均を大きく上回っている。
新規参入ゆえの課題
保険業界関係者によると、BYD保険は新規参入企業であるため、資金投入や人材育成に多くの費用がかかっている。また、EV保険特有の課題も存在する。
EV保険特有の高コスト構造
EVの修理費用はガソリン車に比べて高額である。さらに、自動運転技術など新しい技術の登場により、リスク評価が複雑化していることも、保険金支払率を高騰させる要因となっている。
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BYD会長が指摘する業界全体の課題
BYDの王伝福会長は、EV向け保険業界全体が赤字状態にあると指摘している。その原因として、車両設計とアフターサービスのシステムの分断を挙げている。例えば、バッテリーの一部に不具合が生じた場合でも、バッテリーパック全体を交換するのが業界の慣行となっている。このため、修理費用が嵩み、保険会社の負担が増加している。
部品交換ではなくパック交換の弊害
自動車修理専門家の山田太郎氏(仮名)は、「バッテリーパック全体の交換は、確かに効率的ではあるものの、コスト面では大きな課題です。部品ごとの修理が可能になれば、修理費用を大幅に削減できる可能性があります」と指摘する。
今後のEV保険はどうなる?
EV市場の拡大に伴い、EV保険の需要も増加していくと予想される。BYDをはじめとする保険会社は、これらの課題をどのように解決していくのか、今後の動向に注目が集まっている。EV保険の進化は、EVの普及を促進する上で重要な鍵となるだろう。