米中貿易摩擦が再び激化しています。トランプ政権による中国製品への追加関税発動を受け、中国はアメリカ産農産物への報復関税で対抗措置を取りました。世界最大のアメリカ産農産物輸入国である中国の報復は、アメリカの農業従事者に大きな打撃を与えると予想されます。
中国、アメリカの「急所」狙う報復関税
中国商務省は、トランプ政権の追加関税発動を「過ち」と非難し、対抗措置としてアメリカ産農産物への報復関税を発表しました。鶏肉、小麦、トウモロコシ、綿花には15%、大豆や牛肉には10%の追加関税が課せられます。
アメリカのアイオワ州でトウモロコシを収穫する農家
中国メディア関係者は、今回の報復関税はアメリカの「急所」である農業分野を狙ったものだと指摘しています。アメリカの農業従事者にとって、中国は巨大な輸出市場です。今回の報復関税により、アメリカ産農産物の価格競争力が低下し、輸出量が減少する可能性があります。
WTO提訴と輸出管理強化も
報復関税に加えて、中国商務省はアメリカを世界貿易機関(WTO)に提訴したことを発表しました。また、一部のアメリカ企業への輸出管理も強化する方針を明らかにしました。中国は、多方面からの圧力をかけることで、アメリカに関税撤回を迫る構えです。
アメリカ農家の苦境
中国の報復関税は、既に米中貿易摩擦の影響を受けているアメリカ農家に更なる打撃を与えると懸念されています。例えば、大豆農家は中国への輸出が激減し、経営難に陥っているケースも少なくありません。今回の追加関税により、状況はさらに悪化すると予想されます。
農業経済学者である山田一郎氏(仮名)は、「中国の報復関税は、アメリカ農家の経営を圧迫するだけでなく、アメリカの農業全体の衰退につながる可能性がある」と警鐘を鳴らしています。
貿易摩擦の長期化懸念
米中両国は、貿易摩擦の解決に向けて協議を続けていますが、合意に至る見通しは立っていません。貿易摩擦の長期化は、世界経済にも悪影響を及ぼすことが懸念されています。
中国は、アメリカに譲歩を迫る姿勢を崩していません。今後の米中関係、そして世界経済の行方が注目されます。