【編集者のおすすめ】『NHK解体新書』有馬哲夫著 杜撰で危険な実態を検証





『NHK解体新書』有馬哲夫著

 □『NHK解体新書 朝日より酷いメディアとの「我が闘争」』

 NHK相手に参議院選挙で言論闘争を展開して話題になった「NHKから国民を守る党」。有馬哲夫さんは、その主張に共鳴しつつも、足りない点をまず指摘します。著者はNHKと自著の著作権侵害などに関して裁判で争ったこともあり、番組関係者の不当な対応を身をもって体験しているからです。

 現代史家としてCIA、慰安婦、南京事件、原爆投下問題などの話題作を次々と発表している著者のところに番組制作の協力を求めてやってくるNHK関係者。最初は床に額をこすりつけるようにアプローチして番組の「監修」を依頼しますが、それがいつのまにか「取材協力者」に格下げ。その不当性を裁判に訴え、実質勝訴(和解)します。そんな丁々発止のやりとりが再現されています。

 最近、NHKが「スクープ」とばかりに連日トップニュースで報じた「昭和天皇・田島道治拝謁記」も、先行研究をしていた加藤恭子さんの著作の「後追い」でしかなく、学者が出典も示さずに、こんなことをしたら「盗用・盗作」をしたとして、懲戒免職に値する大罪だと批判しています。

 慰安婦虚報で地に落ちた朝日新聞に比べ、まだ公平で正確なニュースをお茶の間に届けていると思われているNHK。「現代史」に関しても意欲的なドキュメント番組を制作していると評価されがちです。が、その実態たるや、朝日より杜撰(ずさん)で危険なところのあるメディアであることを専門家の立場から検証した類のないノンフィクションです。(ワック・900円+税)

 ワック「歴史通・書籍」編集長 仙頭寿顕



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