歌舞伎町でなぜ飛び降りが多いのか? トー横キッズたちに聞いて判明した意外な事実


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直近では‘23年8月に1件、’24年9月に2件、歌舞伎町での飛び降りが発生し、自殺者は若者と報道されている。歌舞伎町は、元々飛び降り自殺が多い土地柄として有名で、かつては某ビルから多くの人が飛び降りて死を迎えた。なぜ歌舞伎町でここまで自殺が多いのだろうか。

◆誰でも侵入できるビルがある

歌舞伎町で飛び降りが多発する背景には、まず「ビルに簡単に侵入ができる」ことが挙げられる。トー横キッズ達に話を聞くと、各々が不法侵入できるビルを答え、こう続ける。

「歌舞伎町で、どのビルが屋上まで行けるのかはみんなが知っていると思います。施錠されてないビルは沢山ありますし、外階段ならそもそも鍵がないところもあります。立ち入り禁止の鎖や看板だけが置かれているようなところであれば、それを越えるだけでいいので簡単に入れます」

多くの人が飛び降りをした某ホテルに案内してもらうと、すでに飛び降り対策がされて簡単には侵入ができないようになっていた。少し前までここに入れたと話す少年から、かつての写真を見せてもらうと、自殺対策のための相談ダイヤルや、窓口への案内が書かれた張り紙があった。ホテル側も厳しく対策をしているようだ。

厚生労働省が公表している『令和6年版自殺対策白書』によると、小中高生の自殺者の推移は’20年から急増し、‘22年には統計以来の過去最多である514人となり、’23年はそれに次ぐ513人といった数字となっている。小中高生の自殺者の動機で多いものは、「家庭問題」「健康問題」「学校問題」が挙げられる。家庭問題では「家族からのしつけ」「親子関係の不和」、健康問題では「病気の悩み・影響」、学校問題では「学友との不和」「進路に関する悩み」が多い。

トー横キッズたちは何を悩んでいるのだろうか。彼らが口を揃えていうのは「漠然とした不安」だ。10代の女性トー横キッズは、悲観的な人生を思い詰めて飛び降りをした20代の男性を偲びながらその現場で「結局誰もわかってくれないし、ここしか行く場所が無い」と話す。

「彼が飛び降りたことはトー横界隈ですぐに広まりました。みんなでお酒や煙草とかお供え物をしました。元々彼は常に『死にたい』と言っている感じで、情緒が不安定で、浮き沈みが激しい人だったと思います。

何かしら病んでいる子がメジコン(咳止め薬)なんかを飲んで、自殺未遂なんて話はここだとよく聞きます。誰も助けてくれないから、行き場のない感情をそれで発散するしかないんです」

◆〝楽しく遊ぶ場所〟が悪い方向に傾くとき

普通の少年少女であれば家族や友人などに悩みを相談することもできるだろうが、歌舞伎町で動画撮影をしており、トー横キッズの動向に詳しいゆきにゃん氏は「彼らに対して私たちができることはあまりない」と言う。

「この場所には、家庭環境や学校で問題がある子が多数で、何かあると自傷行為に走ってしまうことも多々あります。大人や社会へ不満を持った人たちで構成されているために、大人が正しい選択肢を提示しても受け容れてもらえないことがあるんです」

自殺が多い理由としては、3か月1度メンバーが変わるうえに、集まる人々も特殊なトー横独特の環境もあるという。

「人の流動性が高い場所ですが、居場所がない子どもでもトー横に行けば友達ができるし、自分を認めてくれる人がいて、助け合い、励まし合っています。しかし、彼らは精神が幼い子も多く、安直な行動に走りやすい。『自殺』の話題が出ると、楽しく遊ぶ場所が悪い方向に傾き始めます。

歌舞伎町は昔から飛び降りが多いので、『あのビルは屋上に入れる』、『あのビルは無理だった』と、情報もすぐに集まるため、飛び降りが漠然としたものから、現実味のある話へと変わっていくのです」

本当に彼らに必要なのは、親身に相談相手になってくれる大人だ。簡単には難しいだろうが、彼らがアクセスできる福祉環境を整えることが、トー横キッズ達の問題解決への近道になる。そしてそれ以前に、まずは歌舞伎町のビルの管理をこれまで以上に徹底することが必要だろう。

・日本いのちの電話連盟
電話 0570-783-556(午前10時〜午後10時)
https://www.inochinodenwa.org/・よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
電話 0120-279-338(24時間対応。岩手県・宮城県・福島県からは末尾が226)
https://www.since2011.net/yorisoi/・厚生労働省「こころの健康相談統一ダイヤル」やSNS相談
電話0570-064-556(対応時間は自治体により異なる)
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/jisatsu/soudan_info.html

・いのち支える相談窓口一覧(都道府県・政令指定都市別の相談窓口一覧)
https://jscp.or.jp/soudan/index.html

取材・文:白紙緑

FRIDAYデジタル



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