共働き時代の壁:家事分担と男性の意識改革が女性のキャリアを左右する

現代社会では、女性の社会進出が進み、管理職に就く女性も増えています。企業も両立支援策を充実させ、出産後も女性が働き続けられる環境が整備されてきました。しかし、依然としてキャリアを諦める女性は少なくありません。その原因は、職場ではなく、家庭内にあることが多いのです。

家庭内の「呪い」:食洗機は手抜き?

神奈川県在住の48歳の主婦Aさんは、15年前に出産を機に産休・育休を取得しました。夫はAさんに仕事を頑張ってほしいと願っていましたが、「食洗機を使うのは手抜き」と言うなど、家事に対する考え方を持つ人でした。

Aさんは、夫の母親が専業主婦で料理上手だったことから、夫は「家事は手間をかけるべき」という固定観念に囚われていると感じていました。

神奈川の主婦Aさん神奈川の主婦Aさん

この意識は、子どもが生まれてからも変わりませんでした。寝かしつけに苦労し、睡眠不足に陥るAさんをよそに、夫は会社を優先し、育児への積極的な参加は見られませんでした。Aさんは不安を抱えながらも職場復帰を果たしました。

職場復帰と限界:育児と仕事の板挟み

保育園の送迎、仕事、家事と時間に追われる日々。子どもの発熱で仕事を休むこともあったため、自分の体調不良では休むまいと無理を重ねた結果、肺炎になってしまいました。しかし、夫は多忙で家事を手伝うことはなく、食洗機を使うことさえ認めませんでした。時短勤務で収入も減り、Aさんは「何のために働いているのか」と自問自答するようになりました。

そしてついに、Aさんは夫に不満を爆発させました。「私は出ていきたい。育児のベテランの保育士さんと再婚したらいいんじゃないかな」と。夫は驚きましたが、状況は改善されず、Aさんは子どもが4歳の時に退職を選びました。

現在、子どもは中学生になりましたが、Aさんは体調も万全ではなく、再就職は諦めているといいます。「結局、女が割を食うんです」とAさんは言います。

時代の変化と課題:男性の意識改革が必要

Aさんが退職を余儀なくされてから10年以上が経ち、社会は大きく変化しました。両立支援策の充実、パパ育休の普及、マミートラック対策など、女性のキャリア継続を支援する取り組みが進んでいます。

しかし、Aさんのようなケースは依然として存在します。家事・育児に対する意識の差、男性の育児参加への消極的な姿勢は、女性のキャリアを阻む大きな要因となっています。

家事・育児は夫婦共同で行うものという意識改革、そして男性の積極的な育児参加が、女性のキャリア継続を支える上で不可欠です。ワークライフバランスを実現し、男女共に活躍できる社会を目指していくためには、家庭内における意識改革が重要と言えるでしょう。

専門家の意見:社会全体での意識改革を

育児・キャリア支援の専門家である山田花子さん(仮名)は、「企業の制度改革だけでなく、社会全体で家事・育児に対する意識を変えていく必要がある」と指摘します。「男性が育児に積極的に参加することで、女性の負担が軽減され、キャリアを継続しやすくなるだけでなく、子どもの成長にも良い影響を与える」と述べています。

まとめ:女性のキャリアを応援するために

女性の社会進出が進む現代において、家事・育児分担、そして男性の意識改革は、女性のキャリアを大きく左右する重要な要素です。真の男女平等を実現するためには、家庭内における意識改革、そして社会全体での理解と支援が不可欠です。