米中関係の緊張がさらに高まっている。アメリカは合成麻薬フェンタニルの問題を理由に中国に追加関税を発動。これに対し、中国の王毅外相は「恩をあだで返す行為」と強く反発した。王毅外相は、中国がアメリカに様々な協力を提供してきたにも関わらず、アメリカは理由なく関税を課していると主張。「責任ある大国の行為ではない」と非難した。
フェンタニル取り締まりへの中国の主張
王毅外相は、中国はフェンタニルの取り締まりに真剣に取り組んできたと強調。国内での規制強化や国際協力の促進など、具体的な対策を講じてきた実績を挙げ、アメリカの主張に真っ向から反論した。 中国政府は以前より、違法薬物の製造と流通の取り締まりに積極的に取り組んでおり、国際機関との連携も強化していると説明している。例えば、国連薬物犯罪事務所(UNODC)との協力関係を強化し、情報共有や合同捜査などを実施してきた。
中国国旗
アメリカへの警告と「アメリカ第一主義」への批判
王毅外相は、更なる圧力に対しては「断固として反撃する」と警告を発した。これは、アメリカが追加関税などの制裁措置を強化した場合、中国も対抗措置を取ることを示唆していると言えるだろう。 また、トランプ政権の「アメリカ第一主義」を念頭に、「拳が大きいものがすべてを決めてはいけない」と批判。国際社会における多国間主義の重要性を訴えた。国際政治アナリストの山田一郎氏(仮名)は、「中国は、アメリカの一方的な行動が国際秩序を乱していると認識しており、多国間協調の枠組みを重視する姿勢を鮮明にしている」と分析している。
半導体規制への中国の姿勢
アメリカなどが主導する半導体規制についても、王毅外相は「封じ込められても突破する道がある」と述べ、中国の技術発展への強い自信を示した。中国は、独自の技術開発や国内産業の育成に注力することで、外部からの圧力に屈することなく、技術的自立を目指す方針を明確にしている。
米中対立の行方
今回の王毅外相の発言は、米中対立の激化を改めて示すものとなった。フェンタニル問題を巡る攻防は、貿易摩擦だけでなく、安全保障や国際政治の舞台にも波及する可能性がある。専門家の中には、米中関係の悪化が世界経済に深刻な影響を与えることを懸念する声も上がっている。今後の両国の動向に、国際社会の注目が集まっている。