日本の食卓に欠かせないアサリ。しかし、今、国産アサリは深刻な危機に瀕しています。3年前、熊本県産アサリの産地偽装問題が発覚し、国産アサリの信頼は大きく揺らぎました。それから3年、状況は改善するどころか、国産アサリの漁獲量は減少の一途をたどり、偽装も未だ続いているという現状があります。一体何が起こっているのでしょうか？この記事では、国産アサリを取り巻く厳しい現実と、漁師たちの懸命な努力、そして消費者ができることを探っていきます。
過去最悪の不漁…国産アサリ漁師たちの苦悩
全国一のアサリの産地として知られる愛知県田原市。漁師歴35年の細田光則さんは、現在の状況を“過去最悪の不漁”と表現します。旬であるはずのこの時期、アサリはほとんど獲れず、漁に出られない日が続いています。
田原市のアサリ漁師
「学生のアルバイトより稼げない」と嘆く細田さん。収入は最盛期の5分の1から6分の1にまで落ち込んでいるといいます。愛知県のアサリ漁獲量は年々減少傾向にありましたが、2021年の豪雨で三河湾にヘドロが堆積したことが追い打ちをかけ、壊滅的な打撃を受けているのです。
新たな活路：カキ養殖への挑戦
先行きが見えない状況の中、細田さんは若手漁師と共にカキ養殖という新たな取り組みを始めました。「三河湾にはカキがたくさんあったのに、誰も獲らなかった。もったいない」と語る若手漁師の川口拓馬さん。アサリ漁が困難な今、カキ養殖に活路を見出そうと、試行錯誤を繰り返しています。広い砂地が必要なアサリに比べ、カキは養殖しやすいという利点もあります。
漁師たちの決意
「アサリの漁獲量が減り続ける中、獲るものを変えたり、養殖業に移行したりしなければ、漁師はやっていけない」と細田さんは強い決意を語ります。国産アサリを守るため、そして自分たちの生活を守るため、漁師たちは懸命に新たな道を模索しているのです。
国産アサリ減少の深刻な背景と偽装問題
愛知県だけでなく、全国的に国産アサリの漁獲量は1980年代以降、急激に減少しています。明確な原因は解明されていませんが、温暖化による海水温の上昇や海洋環境の変化が影響していると考えられています。
そして、追い打ちをかけるように、依然として産地偽装の問題は根深く残っています。国産アサリが希少価値を持つようになったことで、偽装の温床となっているのです。 食品偽装問題に詳しい専門家、山田一郎氏（仮名）は「消費者の信頼を取り戻すためには、徹底的な検査体制の強化と、生産者への意識改革が不可欠だ」と指摘します。
私たちにできること
国産アサリを守るために、私たち消費者にできることは何でしょうか？まずは、国産アサリの現状を知ること、そして、国産アサリを選ぶことで漁師たちを応援することです。また、持続可能な漁業を支援する取り組みへの参加も有効な手段と言えるでしょう。
未来へつなぐために
国産アサリは日本の食文化にとって大切な存在です。未来の世代にも美味しいアサリを味わってもらうために、今、私たち一人ひとりができることを考え、行動に移す必要があるのではないでしょうか。
