インドは世界的に有名なベジタリアン大国。しかし、その平均寿命は日本人より17年も短い68歳(2022年世界銀行報告)。宗教的な影響で殺生を禁じ、野菜中心の食生活を送る人が多いにも関わらず、この事実は一見矛盾しているように思えます。この記事では、インドの食文化の実態を探り、平均寿命の短さに関する謎に迫ります。
インドの食文化:理想と現実のギャップ
インドの食文化を語る上で欠かせないのがヒンドゥー教。多くのヒンドゥー教徒は殺生を禁じ、厳格なベジタリアン生活を送っています。しかし、実際にはミルク、バター、チーズ、卵などの動物性食品を摂取するセミ・ベジタリアンも少なくありません。沿岸部では魚を食べる人もいます。ゴアのホステルで出会ったヒンドゥー至上主義者のマネージャーも、まさにセミ・ベジタリアンを実践していました。
一見健康的にも思えるセミ・ベジタリアンですが、その実態は想像とは異なるかもしれません。インド料理の定番であるターリー(ベジタリアン定食)は、チャパティ(小麦粉を焼いたもの)、ライス、野菜カレー数種類、ヨーグルトで構成されています。一見ヘルシーですが、チャパティとライスの量が過剰で、野菜カレーは野菜が少なく、栄養バランスに疑問が残ります。
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油と塩分の過剰摂取:庶民の味「炒め物3兄弟」
ターリー以外に、インドの食堂でよく見かけるのが「炒め物3兄弟」。フライド・ライス、チョウメン、フライド・ヌードルは、いずれも大量の油と塩を使って調理されます。キャベツ、ニンジン、タマネギなどの野菜は少量で、スパイスもたっぷり。ボリュームも満点で、日本人には完食するのが難しいほどの量です。
これらの料理は、穀物、油脂、塩分、スパイスの過剰摂取につながりやすく、健康への影響が懸念されます。インドの著名な栄養士、Dr. アニタ・シャルマ氏も、「過剰な油と塩分の摂取は、高血圧や心臓病のリスクを高める」と警鐘を鳴らしています。
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食生活の改善が健康への鍵
インドの平均寿命の短さは、衛生環境や医療の遅れだけでなく、食生活にも原因があると考えられます。栄養バランスの偏り、油と塩分の過剰摂取は、様々な健康問題を引き起こす可能性があります。
インド政府も国民の健康増進に向けて様々な取り組みを行っています。栄養教育の推進や、健康的な食生活の啓発活動などを通して、国民の食生活改善を図っています。
伝統的な食文化を尊重しつつ、栄養バランスのとれた食事を心がけることが、健康寿命の延伸につながるのではないでしょうか。
まとめ:健康的な食生活で明るい未来を
この記事では、インドの食文化の実態と、平均寿命の短さとの関連性について考察しました。ベジタリアン大国でありながら、平均寿命が短いという矛盾は、食生活の課題を浮き彫りにしています。バランスの良い食事を心がけることで、健康寿命を延ばし、より豊かな人生を送ることができるはずです。