韓国自動車産業、世界ランキング7位に後退…内需低迷と高金利、そして迫る米国の関税の影

韓国の自動車産業が、世界生産ランキングで7位に転落しました。かつては世界5位にまで上り詰めた韓国自動車ですが、近年は苦戦を強いられています。今回は、韓国自動車産業の現状と課題、そして未来への展望について詳しく解説します。

韓国自動車産業の現状:生産量減少とランキング後退

韓国自動車モビリティ産業協会(KAMA)の報告書によると、2024年の韓国の自動車生産量は前年比2.7%減の412万8000台となり、メキシコに抜かれて7位に後退しました。輸出は微増したものの、景気低迷と高金利の影響で内需が6.5%も減少したことが大きな要因です。

韓国の自動車工場韓国の自動車工場

コロナ禍で一時的に5位まで順位を上げたものの、ドイツ、メキシコに抜かれ、以前の順位に戻ってしまった形です。世界的な半導体不足やサプライチェーンの混乱も影響していると考えられます。自動車産業専門家のキム・ヨンチョル氏(仮名)は、「世界的な経済の不確実性に加え、国内の消費低迷が重なり、韓国自動車産業は厳しい状況に立たされている」と指摘しています。

米国発の関税強化懸念:韓国GMの対応

米国では、自国生産量よりも輸入車の方が多いという市場の不均衡が生じています。この状況を受け、トランプ前政権時代に導入された関税政策が再び強化される可能性が出てきています。韓国GMは、生産量の約8割を米国に輸出しており、関税強化の影響を大きく受けることが懸念されています。

韓国GMの労使は、対策を協議するため、米国GM本社を訪問し、生産計画について議論しました。しかし、具体的な解決策はまだ見つかっていません。関税強化は、韓国自動車産業にとって大きな打撃となる可能性があり、今後の動向が注目されます。

未来自動車への投資:活路を見出すために

韓国自動車産業は、電気自動車(EV)や自動運転車などの未来自動車への投資を強化することで、活路を見出そうとしています。政府も、未来自動車産業への支援を積極的に行っています。

大徳大学未来自動車科のイ・ホグン教授は、「海外生産量が増加し、国内生産がさらに減少する可能性がある。国内産業の空洞化を防ぐ対策が必要だ」と警鐘を鳴らしています。 未来自動車分野での競争力を高めることが、韓国自動車産業の未来を左右する鍵となるでしょう。

韓国自動車産業の未来:課題克服と成長への道

韓国自動車産業は、内需の低迷、高金利、米国の関税強化懸念など、多くの課題に直面しています。しかし、未来自動車への投資や政府の支援など、明るい兆しも見られます。

これらの課題を克服し、持続的な成長を実現するためには、技術革新、ブランド力の強化、グローバル市場への積極的な展開など、多角的な戦略が求められます。消費者のニーズを的確に捉え、魅力的な製品を提供することで、再び世界市場での競争力を高めることができるはずです。