不登校34万人超え:増加の背景と学校復帰への道筋とは?

不登校の児童生徒数が過去最多を更新し続けています。2024年度は34万人を超え、11年連続の増加となりました。学校以外の学習支援の充実や、無理に学校に行かなくても良いという認識の広まりが背景にある一方、学校という場でしか得られない学びへの重要性も再認識されています。本記事では、不登校増加の現状と課題、そして学校復帰を目指す子どもたちへの支援の在り方について探ります。

不登校増加の現状:多様な受け皿と地域格差

フリースクールをはじめ、学校内に居場所を作る「校内教育支援センター」など、不登校の子供たちのための学習環境は多様化しています。文部科学省のデータによると、公立小中学校における校内教育支援センターの設置率は2024年7月時点で46.1%。小学校は35.9%、中学校は66.9%と、小学校での設置が遅れている現状が見えてきます。地域による設置率のばらつきも課題となっており、文部科学省は設置促進に力を入れています。

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学校復帰を希望する子どもたちへの支援

多様な学習環境が整備される一方で、再び学校に通いたいと願う子どもたちもいます。35年以上にわたり不登校を研究する一般社団法人「子どもの成長実感支援センター」の小野昌彦代表理事は、こうした子どもたちへの再登校支援に長年取り組んできました。小野氏は、学力、体力、そして社会的なスキルを測り、それぞれに必要な数値目標を設定し、個々に合わせた指導を行っています。不安克服のための行動療法なども取り入れ、学校復帰後も継続的なフォローアップを実施。これまでに支援した約300人のほぼ全員が、学校生活を継続できているといいます。

支援事例:不安の克服と学校生活の充実

首都圏に住む中学3年生の女子生徒は、腹痛を理由に学校を休みがちになり、周囲の目を気にするようになり、中学1年の秋から不登校になりました。学習の遅れへの焦りと、中学校生活を楽しみたいという思いから、昨年3月に小野氏の支援を受けることを決意。支援プログラムを通して、授業についていけないことへの不安が腹痛の原因だと気づき、復習と予習に取り組むことで、授業への不安を解消していきました。先生に質問する練習も重ね、低下していた体力も回復させ、4月には学校に復帰。友達もでき、学校生活を楽しんでいるといいます。母親も、娘の腹痛の本当の原因に気づけなかったことを反省し、早期の適切な対応の重要性を痛感したと語っています。

多角的な不登校対策の必要性

不登校の背景は複雑で、画一的な解決策はありません。多様な学習機会の提供とともに、学校復帰を希望する子どもたちへのきめ細やかな支援体制の構築が不可欠です。子どもたちの状況に合わせた適切なサポートを提供することで、再び学校で学び、成長する喜びを感じられるよう、社会全体で取り組んでいく必要があります。