アメリカが誇る最新鋭ステルス戦闘機F-35。その輸出は同盟国に限られてきた中、インドへの売却の可能性が浮上し、世界中の注目を集めています。日米豪印4カ国(クアッド)の枠組みも強化される中、この動きは一体何を意味するのでしょうか?本記事では、インドへのF-35売却の背景、そしてその実現に向けた課題を探ります。
F-35売却提案の背景:米印関係の深化
2025年2月、トランプ前大統領がモディ首相との会談でF-35の売却を提案したことは、米印関係の新たな局面を象徴する出来事と言えるでしょう。冷戦時代、非同盟中立を掲げてきたインドは、東西両陣営から兵器を調達し、独自の防衛体制を築いてきました。特に戦闘機においては、ロシア製Su-30MKI、フランス製ラファールなど、多様な機体を運用しています。
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近年、中国の軍事力増強を背景に、インドとアメリカの関係は急速に深化しています。クアッドの枠組みにおける協力強化に加え、軍事演習の実施など、安全保障分野での連携も進んでいます。F-35の売却提案は、こうした流れを加速させる可能性を秘めています。軍事専門家の佐藤一郎氏(仮名)は、「F-35の売却は、単なる兵器供与ではなく、米印の戦略的パートナーシップを強化する象徴的な意味合いを持つ」と指摘します。
最大の障壁:ロシア製S-400地対空ミサイル
しかし、インドへのF-35売却には大きな課題が存在します。それは、インドがロシアから導入したS-400地対空ミサイルシステムです。アメリカは、S-400がF-35のステルス技術に関する機密情報をロシアに漏洩させるリスクがあると懸念しています。
トルコのF-35導入計画がS-400導入を理由に頓挫した事例は記憶に新しいところです。 トルコはF-35の共同開発国でありながら、S-400導入を強行した結果、計画から排除されました。この前例は、インドにとっても大きな教訓となるでしょう。
インドの選択:戦略的バランスの模索
インドは、F-35導入によって得られる先進的な軍事力と、ロシアとの関係維持のバランスをどのように取っていくのでしょうか? F-35導入を実現するためには、S-400問題を解決する必要があります。 それは、ロシアとの関係に影響を与える可能性も孕んでいます。
インドの選択は、今後の国際情勢にも大きな影響を与える可能性があります。 専門家の間では、インドがアメリカとの関係を重視し、S-400の運用方法を制限するなどしてF-35導入を実現するとの見方が有力です。 しかし、最終的な決断はインド政府の手に委ねられています。 今後の動向に注目が集まります。